公務員試験 H28年 国家一般職(教養) No.39解説

 問 題     

為替に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.外国通貨と自国通貨の交換比率のことを外国為替相場,銀行間で外貨取引を行う市場を外国為替市場という。外国為替相場は米国と各国の中央銀行間で決定されており,基軸通貨である米ドルと各国の通貨との交換比率が「1 ドル = 100 円」のように表される。

2.第二次世界大戦後,外国為替相場の安定と自由貿易の促進を目的としたブレトン = ウッズ体制の下で固定為替相場制の体制が成立した。我が国が国際貿易に復帰する時には,「1 ドル = 360円」の相場であった。

3.1973 年に先進国間でプラザ合意が成立し,我が国も変動為替相場制へ移行することとなった。経済成長とともに我が国の貿易黒字が拡大し,日米間での貿易摩擦に発展した。そのため,円高・ドル安の傾向が強まり,1985 年には「1 ドル = 80 円」に達した。

4.貿易での決済がドルで行われる場合,円高・ドル安になると我が国の輸入は増加し,円安・ドル高になると我が国の輸出が増加する。為替相場を誘導することは貿易問題を引き起こしやすいことから,国家による為替介入は,変動為替相場制の下では禁止されている。

5.為替相場の変動によって生じる利益のことを為替差益といい,例えば日本円を「1 ドル = 100円」の相場で全てドルに交換し,その相場が円高・ドル安に進んだ後,全て日本円に交換すると,利益が出ることになる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、個人や企業ー金融機関間の、金融機関側から見た「対顧客取引」も、外国為替市場の一部です。「銀行間で取引を行う市場」は、「外国為替市場におけるインターバンク市場」です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、1ドル 80 円に達したのは、1995 年です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、国家による為替介入は行われます。ニュースで「日銀による・・・介入は・・・」といった表現を耳にしたことがあれば、容易に誤りと判断できると考えられます。

選択肢 5 ですが、円高・ドル安なので、1ドル=80円のような変化です。すると 100円→1ドル→80円となります。これは損失です。よって選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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