公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.14解説

 問 題     

パーソナリティ検査に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ロールシャッハ・テストは,対象者にインク・ブロットを見せ,何に見えるか,どのような特徴からそう見えるのかについて口頭で答えさせる検査である。検査結果の量的分析では,反応領域,反応決定因,形態水準などを対象とする。そのうち,反応領域の比率は体験型と呼ばれ,ユング(Jung, C.G.)の述べた内向性-外向性の考えに関連付けて解釈される。

2.主題統覚検査(TAT)は,一連の曖昧な状況を表す絵画を提示して,それに関連した物語を作成させる検査である。考案者であるマレー(Murray, H.A.)は,個人の行動を駆り立てる力である欲求と,環境が個人に与える力である圧力との相互作用を分析することにより,対象者の感情,コンプレックス,葛藤などを明らかにできると考えた。また,TAT の児童版として,CAT がある。

3.エゴグラムは,交流分析理論に基づき,デュセイ(Dusay, J.M.)によって考案された検査である。自我状態を機能的に捉え,親(P),大人(A),子ども(C)という三つの自我状態を想定している。我が国では,標準化された質問紙が広く用いられており,そのうち東大式エゴグラムでは,三つの自我状態のうち,大人(A),子ども(C)にそれぞれ下位分類を設け,全体として五つの機能を想定している。

4.HTP は,バック(Buck, J.N.)によって考案された描画法である。対象者に,家,木,人をそれぞれ1 枚ずつ紙に描かせ,その形式分析・内容分析により,自己イメージや家族イメージ,対人関係などの人格特性を把握することを目的とする。これを発展させたものとして,家,木,人に自分を加えた四つを1 枚の紙に描かせる方法があり,HTPP と呼ばれている。

5.人物画テストは,初め,描かれた人物の特徴やその描き方の分析から対象者の人格特徴を捉えることを目的として,グッドイナフ(Goodenough, F.L.)により考案された検査である。その後,マッコーバー(Machover, K.)らが,描かれた絵から知能や発達段階を測定することを主眼とした検査として発展させた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ロールシャッハテストの「体験型」は、「運動反応と色彩反応の相互関係」のことです。内向、外拡などの類型があります。ちなみに、反応領域は「どこを見たか」であり、「反応領域の比率が体験型」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。
マレーが考案した TAT(Thematic Apperception Test)です。児童版が CAT(C:children’s)、高齢者用は SAT(S:Senior)です。

選択肢 3 ですが
東大式エゴグラムでは、P の下に NP,CP(養育的、批判的)、C の下に FC、AC(自由、適応した) という下位分類を設け、全体として五つの機能を想定しています。A,Cにそれぞれ下位分類ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
HTP については妥当です。HTPP は、家、木、人、「反対の性の人」を描かせる方法です。「自分」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
まずグッドイナフが知能や発達段階の測定を主眼に考案され、後にマッコーバーら人格特徴を捉えることを目的として発展させました。グッドイナフが開発したのが「DAM(Draw a man)」、マッコーバーが開発したのが「DAP(Draw a person)」です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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