問 題
植物ホルモンに関する記述として最も妥当なのはどれか。
1. エチレンをエンドウの芽生えに処理すると上胚軸の伸長促進肥大成長抑制及び水平方向への屈曲が同時に引き起こされる。三重反応と呼ばれるこの特異的な作用はエチレンの定量に用いられる。
2. アブシシン酸の名前は器官脱離(abscission)を促進する物質として単離されたことに由来している。しかし実際にはアブシシン酸により合成が促進されたエチレンが主に器官脱離に働いていると考えられている。
3. 植物ホルモンは生合成の出発物質に基づいて分類することができる。アブシシン酸及びジャスモン酸はアミノ酸由来オーキシン及びエチレンはイソペンテニル二リン酸由来のホルモンである。
4. 植物ホルモンのうちエチレンやオーキシンは単一の化合物の名称であるがジベレリンやアブシシン酸は同じ生理活性を示す構造的に類似した化合物の総称である。インドール酪酸はタバコにクロロインドール酢酸はエンドウに存在するアブシシン酸として単離されている。
5. イネの種子発芽過程ではジベレリンが胚乳で作用することによりデンプン合成酵素の発現が誘導される。イネの苗立枯病は菌が産生するジベレリンによる過剰な節間伸長が主な症状である。
解 説
選択肢 1 ですが
エチレンの三重反応は軸の伸長「阻害」、肥大「促進」、水平方向への屈曲です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当な記述です。
選択肢 3 ですが
アブシシン酸は「非メバロン酸経路」、ジャスモン酸は「αーリノレン酸」、オーキシンはアミノ酸由来、エチレンは「1ーアミノシクロプロパンー1ーカルボン酸」由来です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4ですが
「オーキシン」は、植物の成長を促す植物ホルモンの一群の総称です。また、ジベレリンも総称です。そして、インドール酢酸及びクロロインドール酢酸は、「オーキシン」の一種です。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
ジベレリンが胚乳で作用して、デンプン「分解」酵素発現が誘導されます。また、後半の文章は「馬鹿苗病」についての記述です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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