公務員試験 H27年 国家一般職(農学) No.7解説

 問 題     

遺伝子組換え技術あるいは遺伝子組換え作物の利用に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 我が国で遺伝子組換え作物を作出する際はカルタヘナ法*の規定に従い拡散防止措置と農林水産大臣の承認が必要である。遺伝子組換え技術で一遺伝子支配の形質を既存の優良品種に付与する場合は戻し交配が必要なため品種育成期間は交配育種と同程度である。

2. 遺伝子組換え技術の特徴の一つは植物から微生物へは遺伝子を導入できないが微生物から植物へは遺伝子を導入できる点である。これまでに商業栽培されてきた遺伝子組換え作物の改良形質は主に栄養価と乾燥ストレス耐性である。

3. イネは他のイネ科作物と比べて遺伝子組換えが比較的容易に行えるため現在世界のイネ作付けの9割以上が遺伝子組換え体となっている。トウモロコシでは遺伝子組換え品種のメリットが大きいため現在世界のトウモロコシ作付けの約8割が遺伝子組換え体となっている。

4. 現在27か国で遺伝子組換え小麦大豆あるいはトウモロコシなどが商業栽培されている。財務省貿易統計によると平成25年における我が国の遺伝子組換え作物の輸入量は多い方から小麦大豆トウモロコシの順となっている。

5. 遺伝子組換え技術を用いて非選択性の除草剤に対する抵抗性や殺虫タンパク質産生能を作物に付与することで農薬散布のコストや散布に伴うリスクを低減することが可能となっている。ただし生物多様性への影響や食品としての安全性などを慎重に確認する必要がある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

*正式名称は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」

選択肢 1 ですが
「戻し交配」とは、まず交配して雑種ができ、この雑種と元の両親の片方を交配することです。品種育成期間がより長くかかります。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
植物→微生物も、微生物→植物も遺伝子導入可能です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
主要な遺伝子組み換え作物は「ダイズ、とうもろこし、ワタ、ナタネ」などです。「イネの作付け 9 割以上」は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
圧倒的に輸入量が多いのが、トウモロコシとダイズです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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