公務員試験 H27年 国家一般職(化学) No.19解説

 問 題     

コロイド溶液に関する次の記述の ㋐、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし気体定数は 8.31 J・K-1・mol-1 とする。

「標準状態(温度 298K 、圧力 1.0×105 Pa)で沸騰させた純水 99mL に 1.5mol・L-1塩化鉄(Ⅲ)水溶液を 1.0 mL加えたところ、赤褐色の水酸化鉄(Ⅲ)のコロイド溶液 100mL が得られた。

この溶液をセロハン製のチューブに入れチューブを純水中に吊しておくことにより、コロイド粒子と同時に生成した水素イオンや塩化物イオンを純水中に除去しコロイドを精製した。この操作を( ㋐ )という。

精製されたコロイド溶液の浸透圧を、温度 298K で測定したところ、2.5×10Paであった。このコロイド溶液の体積が 100 mLであり鉄の損失がなかったものとするとコロイド粒子 1 個に含まれる鉄イオンの平均の個数はおよそ( ㋑ )と考えられる。」
 
  ㋐    ㋑
1.塩析  150
2.塩析  1300
3.透析  75
4.透析  150
5.透析  1300

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

㋐ですが、半透膜を使った精製なので「透析」です。正解は 3~5 です。ちなみに塩析は、「多量の電解質」を加えて「沈殿」させる操作です。

浸透圧については、π = cRT が成立します。選択肢を見るとかなり雑な評価でよいので気体定数は 8.3, 温度は 300K とします。さらに RT = 8.3 × 300 = 2490 なので、2490 ≒ 2500 と近似します。「2.5 × 102 (Pa) = c × 2500 (J/mol)」が成り立ちます。

ここで 103 Pa = 1J/L なので、左辺は 0.25 J/L です。従って「2.5 × 102 (Pa) = c × 2500 (J/mol)」の単位を合わせると、「0.25 = c × 2500」 なので、コロイド溶液の濃度 c は0.0001 mol / L です。

一方、水酸化鉄イオンの濃度は 1.5mol/L の溶液を 1.0mL 加えたら100mL のコロイド溶液になったのだから、0.0015mol /100mL = 0.015mol/L です。

つまり
コロイド粒子 1 個に、
150 個の鉄イオンが入っていれば OK とわかります。

以上より、正解は 4 です。
 
以下は単位変換について捕捉です。
ーー【PaからJ/L への変換について】ーー
Pa = N/m2 です。これは知識です。

一方、J/L
= N・m/L ∵ J = N・m
= N・(m/10-3 m3) ∵1L = 10-3m3
= 103 N/m2

以上より、103 Pa = 1 J/L
ーー【Paからj/L への変換について終わり。】ーー

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