問 題
パーソナリティに関するビッグ・ファイブ (5因子モデル) についての記述 A~D のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A. ビッグ・ファイブは、類型論を基盤にして作られたものであり、性格の際立った特徴を抽出し、それを先行研究において最も典型的にみられた五つの類型に当てはめて、個人の全体像を捉えようとするものである。
B. コスタとマクレー (Costa, P. T. & McCrae, R. R.) が作成した NEO-PI-R の5因子は、神経症傾向 (Neuroticism) 、 外向性 (Extroversion) 、開放性 (Openness) 、協調性 (Agreeableness) ,誠実性 (Conscientiousness) である。
C. アイゼンク (Eysenck, H. J.) は、5因子はそれぞれ4層構造になっており、因子の下に一般因子 (類型) 、グループ因子 (特性) 、特殊因子 (習慣的反応) の水準があると想定している。そして、質問紙法により習慣的反応を測定することで、性格を把握できると述べている。
D. ビッグ・ファイブに関する研究は各国で行われており、欧米諸国では、おおむね5因子で性格を表現できるという結果が出ている。しかし、他の文化圏においては、因子の数や内容に違いがあることが明らかになっている。我が国では、これまでに5因子を測定する標準化された尺度は作成されておらず、また、因子の数についても議論がなされている。
1. B
2. C
3. A C
4. A D
5. B D
解 説
記述 A ですが
「類型論」は、典型例を設定してパーソナリティを分類する考え方です。代表例は、クレッチマーの類型論です。体型と性格について論じました。ビッグ・ファイブは「特性論」が基盤です。5つの因子に注目し、各特性をどれぐらい有するかという観点から個人の全体像を捉えようとする考え方です。記述 A は誤りです。
記述 B は妥当です。
記述 C ですが
アイゼンクは類型論、特性論の両方の考え方を取り入れ、類型として3つを指摘し、それらがそれぞれ4層からなる階層構造(日常生活で個人に特有な特殊的反応→(特殊的反応が集まって)習慣的反応→(習慣的反応の背後に)特性→(特性の背後に)類型)を提唱しました。「5因子がそれぞれ4層構造」ではありません。記述 C は誤りです。
記述 D ですが
他の文化圏でも共通する点もあるが、そうでない点も見られるとされています。日本では標準化された尺度として「NEO – PI – R 人格検査」や「5 因子性格検査(FFPQ)」などが開発されています。記述 D は誤りです。
以上より、妥当な記述は B です。正解は 1 です。
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