公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.66解説

 問 題     

女性の教育者や思想家に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. M.モンテッソーリは、イタリアの教育者で、スラム街の子どものための学校リュケイオンを設立した。教材が適切であれば、子どもは自発的に学習するとし、子どもの自主性を尊重した。彼女が開発した教育方法は、プロジェクト・メソッドと呼ばれている。

2. N.クループスカヤは、ポーランドの教育学者で、著書『隠者の夕暮れ』では、遊戯と教育の結合の原則、個性尊重の教育の原則を打ち出した。そしてこれらの原則によって、子どもの全面的な発達が可能になると主張した。

3. H.パーカーストは、米国の教育者で、著書『人間の教育』では、子どもの自学を促す教育法であるヴァージニア・プランを提唱した。このプランでは、協同の原理に基づく子どもの学習活動は、教師と子どもとの間で合意されたアサインメント (学習割当) に基づいて行われる。

4. E.ケイは、スウェーデンの思想家で、1900 年に『児童の世紀』を著し、20 世紀は児童の世紀であり、子どもが幸せに育つことのできる平和な社会を建設すべきであると主張した。この著作は世界的な注目を集め、各国の児童中心主義教育に大きな影響を与えたとされる。

5. 津田梅子は、我が国で初めての国費による女子留学生であり、英国で教育学を学んだ。大正デモクラシー期には自由民権運動家として活躍し、大正末期には我が国初の女子師範学校を創設して、国際人としての女性の育成、英語教員の養成を目的とした女子英語教育の発展に尽力した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
リュケイオンは、古代ギリシアのアテネでアリストテレスが作った学校です。モンテッソーリがスラム街の子どものために設立したのは「子どもの家」です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「隠者の夕暮れ」の著者は J.H.ペスタロッチです。教育実践者として孤児院を開いたりしました。また、直観教授法を確立したとされます。クループスカヤは集団主義教育について、理論化した教育家です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「人間の教育」の著者は、フレーベルです。ちなみにフレーベルは幼稚園の創始者です。ヴァージニア・プランは、アメリカのバージニア州教育委員会が、小・中学校の教育改善のために提案した教育課程です。コアカリキュラムの代表例です。パーカーストが提案したのは「ドルトンプラン」です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
E.ケイは、「児童の世紀」の著者です。児童中心主義を主張しました。

選択肢 5 ですが
津田梅子が留学して学んだのは、アメリカで生物学です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント