問 題
我が国の財政制度に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
1. 予算は、財政民主主義の観点から毎会計年度これを作成し、国会の議決又は内閣の閣議決定を経なければならないと憲法に規定されている。我が国の会計年度は米国、ドイツ、フランスなどと同様に、4月1日から翌年の3月 31 日までの一年間とされている。
2. 暫定予算とは、いわゆる本予算の予算案が何らかの理由で年度開始までに国会に提出されなかった場合に、必要最小限度の出費に限り、国会の議決を経ずに内閣の閣議決定により成立する予算である。一方、本予算の内容を変更する補正予算は、その成立には国会の議決が必要であり,1会計年度につき1回に限って組むことが認められている。
3. 継続費は、完成に数会計年度を要するものについて、経費の総額及び毎年度の支出見込額を定め、あらかじめ国会の議決を経て、最大 10 箇年度にわたって支出することを可能とするものであり、現在では公共事業を含む幅広い事業に関して認められている。
4. 政府関係機関とは、特別の法律によって設立された法人で、その資本金が全額政府出資であり,予算について国会の議決を必要とする機関を指す。平成25年度時点で、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行を含む4機関がこれに該当する。
5. 我が国の国税は、課税ベースの違いによって、所得課税、消費課税、資産課税等に分類することができる。このうち、所得課税には、所得税、法人税、地方法人税、関税等が含まれ、消費課税には、酒税、たばこ税、印紙税等が含まれる。また資産課税等には、相続税、贈与税、とん税等が含まれる。
解 説
選択肢 1 ですが
憲法第 86 条により、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければな」りません。国会の議決「又は」ではありません。また、諸外国の会計年度ですが、米国は 10 月から 9 月、ドイツ、フランスは 1 月から 12 月です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
前半部分について、暫定予算も予算なので、国会の議決が必要です。また、後半部分について、補正予算が何度も組まれるのを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。「1会計年度につき1回に限って」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
財政法第 14 条の 2 によれば、継続費は最大 5 箇年です。ただし、予算を以て、国会の議決を経て更にその年限を延長することができます。「最大 10 箇年度」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
政府関係機関についての記述です。ちなみに残り2つは沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門です。
選択肢 5 ですが
前半部分の国税の分類については妥当です。後半ですが、例えば「関税」が所得課税という点や、「印紙税」が消費課税という点に疑問を覚えるのではないでしょうか。また、とん税とは、外国貿易船の入港に対して課される税金のことです。これを知っていれば、「とん税」が資産課税もあやしいと思えるのではないでしょうか。関税、とん税は消費課税、印紙税は資産課税等に分類されます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
コメント