公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.7解説

 問 題     

アメリカ行政学に関する ア~エ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 市政改革運動の一環で設立されたニューヨーク市政調査会は、公的経営に猟官制を取り入れて政治腐敗を取り除く行政調査運動を展開し、全米への広がりを見せるとともに、関係者が「節約と能率に関する大統領委員会」にも参画し、「節約と能率」を行政管理の規範として定着させた。

イ. ローズヴェルト大統領が設置した「行政管理に関する大統領委員会」に参画した P.アップルビーは、大規模組織のトップが担うべき総括管理機能としてPOSDCoRB を提唱し、この提言に基づいて 1939 年に予算局等の機関を擁する大統領府が創設された。

ウ. W.ウィルソンは、行政活動の効率化が図られる必要があるにもかかわらず、政党政治が行政の領域を侵している現状に対して、行政の領域を「ビジネスの領域」とし、政治と行政を連続した過程としてとらえる政治行政融合論を提唱した。

エ. R.マートンは、官僚制の逆機能を指摘し、官僚制が活動の能率を高めるために規則を制定し遵守しようとするものの、その規則が目的と切り離されることによって、目的の転位が起こり、かえって非効率を生じさせる過程を説明した。

1. イ
2. エ
3. アイ
4. アウ
5. ウエ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア ですが
「猟官制」は、スポイルズ・システムとも呼ばれた制度です。試験や資格ではなく、選挙の結果を反映した公職任命システムのことです。政治的腐敗を招き、廃れていきました。(H26no6)。「猟官制を取り入れて政治腐敗を取り除く」というつながりはおかしいと考えられます。記述 ア は誤りです。

記述 イ、ウ ですが、POSDCoRB を提唱したのは「ギューリック」です。アップルビーは、「行政とは政策決定であり・・・政治過程のひとつ」と述べ、政治・行政融合論を提唱した人です。ウィルソンは、現代行政学の開祖と呼ばる人です。『行政の研究』で、実務的に政治と行政の分離(政治行政二分論)を唱え、猟官制の抑制と近代的官僚制の再導入を提唱しました。記述 イ、ウ は誤りです。

記述 エ は妥当です。
マートンの官僚制の逆機能についての記述です。

以上より、正解は 2 です。

コメント