公務員試験 H26年 国家一般職(化学) No.43解説

 問 題     

伝熱に関する、次の記述の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「厚さ 35.0 cm、熱伝導率 1.40 W/(m・K)の耐火レンガで囲まれた電気炉において、電気炉内部の温度 900K、炉外の温度 400K で定常伝熱となっている。このときの炉壁の熱流束は ( ㋐ ) W/m2 である。

このレンガの断熱性を高めるために、図のように厚さ10.0cm、熱伝導率0.200W/(m・K)の断熱レンガを設置した。炉内と炉外の温度が、断熱レンガを設置する前と同様にそれぞれ 900 K、400 K で定常伝熱になっているとき、耐火レンガと断熱レンガの境界部の温度は ( ㋑ ) K でありこの2層レンガの熱流束は約 ( ㋒ ) W/m2となる。」


㋐    ㋑   ㋒
1.125   733  67
2.125   790  67
3.2000  733  670
4.2000  790  670
5.2000  790  1700

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

㋐ですが
熱流束とは「熱の伝熱速度 を断面積 A で割ったもの」です。熱流束を q とおけば、q = ーλdQ/dx です。※λ = 熱伝導率です。この式は知識です。ただし単位を合わせれば忘れていても導くことができます。

本問において
dQ = -500, dx = 0.35m です。従って、q = 1.4 × 500 / 0.35 = 2000 です。正解は 3~5 です。

㋒ ですが
900K と 400K で「定常状態」というキーワードが出たので、以下のような、伝熱速度を Q1、Q2 とおいた図を考えます。

「定常状態」なので、Q1 = Q2 です。Q1 = Q2 = Q とおきます。境界の温度を T とおけば以下のような関係式(式1、式2)が成り立ちます。

次の式は、知識として覚えた方がよいです。

定常状態において、上のように各部分において「Q = ・・・」と式を複数作った後でうまく式を代入して整理することで、Q は『分子が 「ΔT,すなわち端っこ同士の温度差」、分母が「L11A +L22A+・・・と続く形」』になります。※この形を覚えておいた方がいいです!

本問で言えば、ΔT = 900-400 = 500 です。分母の方は、0.35/1.4A + 0.10/0.2A です。つまり、以下のような式になるということです。

Q/A が「熱流束」です。先に㋒がわかるのですが、㋒は 約 670 となります。Q/A がわかれば、式1、式2 のどちらかの式において両辺を A で割って数値を代入すれば T がわかります。

また、意味を考えれば、熱流束をまず熱伝導率で割れば、1m あたり何度変化するかがわかります。それに長さをかければ、結局何度変化するかがわかります。

となり、T ≒ 733 です。

以上より、正解は 3 です。

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