問 題
中世における日本文化と思想に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 臨済宗の開祖である栄西は宋から抹茶法を伝え茶道を大成した。著作である『喫茶養生記』において今日という会は二度とない一生に一度の会であり決しておろそかにせず心をこめて行うという心得「一期に一度の会」を説き「一期一会」の語源となった。
- 時宗を開いた一遍は後に盆踊りなど各地の民俗芸能の群舞の源流となる踊念仏を始め各地を遊行した。雑念を捨てて「南無妙法蓮華経」と唱えながら踊ることで悟りを開いて極楽浄土に往生することができると説き「阿弥陀聖」と呼ばれた。
- 吉田兼好(卜部兼好)は著作『徒然草』において無常観に立ってこの世の地位や名誉に執着することの愚かさ移ろいゆく自然のはかない美しさをめでる心などを記した。
- 世阿弥は能を完成させ最初の能楽の理論書である『風姿花伝』を著した。優れた役者を「花」と呼び「花」となるには他者の心情への共感である「もののあはれ」の心を知ることが重要であると主張しそれを「秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず」と表現した。
- 明に渡って技法を学び日本の水墨画を大成した雪舟は墨の濃淡や線の強弱だけで艶やかさを表現し人間を個性豊かに描いた美人画と呼ばれる多くの作品を残した。
正解 (3)
解 説
選択肢 1 ですが、「茶道の大成」、「一期一会」といえば「千利休」です。妥当な記述ではありません。臨済宗の開祖、栄西、宋から茶道を伝えた という部分は正しい記述です。
選択肢 2 ですが、「南無妙法蓮華経」と唱えるのは、日蓮の日蓮宗です。時宗の一遍が説いたのは「南無阿弥陀仏」と唱えながら踊ることです。また、阿弥陀聖は「空也」です。妥当な記述ではありません。
選択肢 3 は、妥当な記述です。
選択肢 4 ですが、もののあはれ とは、折に触れ、目に見、耳に聞くものごとに触発されて生じる、しみじみとした情趣や無常観的な哀愁です。「他者の心情への共感」ではありません。妥当な記述ではありません。
選択肢 5 ですが、雪舟といえば、水墨山水画です。人間を個性豊かに描いた美人画ではありません。妥当な記述ではありません。
以上より、正解は 3 です。
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