公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.52解説

 問 題     

国際化や国際的な人の移動に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. B. アンダーソンのいう「想像の共同体」とは、インターネット上に構築された仮想現実的な共同体のことであり、距離や国籍・文化の差を越えて人々が交流を行う場としての共同体である。

2. 文化相対主義とは、文化の単一性や同質性を前提とし、全ての文化の本質は同じであって、その差異は、与えられた環境に適応する中で相対的に生じた小さな差であるとする考え方である。

3. 多文化主義とは、一社会の統合を一元主義的な立場から追求するのではなく、文化・言語・宗教・生活様式の多様性があっても社会統合は可能とする立場を指す。

4. 我が国に入国・在留する外国人が年々増加していることなどを背景に、出入国管理及び難民認定法等が改正され、2012 (平成24) 年に、従来外国人住民についても住民票が作成されていたものが改められ、新たに外国人登録制度が設けられた。

5. 2013 (平成25) 年における我が国への外国人入国者数(再入国者* 数を含む)は、2012 (平成24) 年よりも増加したが、2011 (平成23) 年よりも下回った。また 2013 年の再入国者を除いた新規入国者数を国籍・地域別に見ると、米国が最も多く、次いで台湾、インドとなっている。

(注)* 我が国に就労勉学等で中長期にわたり在留している外国人で里帰りや観光・商用で
一時的に我が国を出国し再び入国する者をいう。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
アンダーソンは「ネーション」の起源について考察しました。人がネーションを「想像」できることが必須であり、出版技術の普及なしに「想像された共同体」としてのネーションの誕生はなかったと指摘しました。アンダーソンのいう『想像の共同体」は、インターネット上の仮想現実的共同体のことではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
文化相対主義は、全ての文化に「優劣はなく対等」という考えです。「文化の単一性、同質性」を全体としてはいません。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
2012 年から、新しい在留管理制度が開始され、外国人登録制度が廃止になりました。その他に、在留カードの交付が始まるなどの変更がありました。「新たに外国人登録制度が設けられた」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
2013 年外国人入国者数は過去最高、年間 1000 万人の大台を初めて超えました。「2011 年よりも下回っ」てはいません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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