問 題
次は M. ヴェーバーの著作 (日本語訳) から、支配に関する記述を抜粋したものであるが、A~Dに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。なお原文には「○﹅○ ﹅○ ﹅」のように傍点(﹅)が付されている箇所があるが、ここでは省略している。
正当的支配には三つの純粋型がある。すなわち、それらの正当性の妥当は、主としてつぎのような性格をもつことがある。
① 合理的な性格をもつ。つまり、成文化された秩序の A 性、およびこの秩序によって支配をおよぼす権限をあたえられた者の命令権の A 性にたいする信念にもとづく ( A 的支配)。――あるいは
② B 的な性格をもつ。――古くよりおこなわれてきた B の神聖や、それによって権威をあたえられた者の正当性にたいする日常的信念にもとづく ( B 的支配)。―― あるいは最後に
③ C 的な性格をもつ。つまり、ある人物およびかれによって啓示されるか制定された秩序のもつ、神聖さとか超人的な力とかあるいは模範的資質への非日常的な帰依にもとづく ( C 的支配)。
A B C
1. 合法 伝統 カリスマ
2. 合法 特権 カルト
3. 合法 特権 カリスマ
4. 普遍 伝統 カルト
5. 普遍 特権 カリスマ
解 説
M.ヴェーバーの正統的支配の三類型です。三類型は「合法的」、「伝統的」、「カリスマ的」です。
合法的支配とは、正当な手続きにより定められた法律により支配や権威の正統性が担保されるとするものです。
伝統的支配とは、昔からある伝統や風習、家柄、身分によって支配や権威の正統性が担保されるとするものです。
カリスマ的支配とは、個人的資質により大多数の大衆の心を捉え、大衆的帰依による圧倒的な支持と賛同を集めたカリスマ的為政者によって支配や権威の正統性を担保するものです。
なんでウェーバーさんが「支配」について考えたのかというと、官僚制度と関係があります。M.ウェーバーは、西欧近代文明の特徴を「合理性」と考え、行政、組織の合理化が「官僚制化」であり、権限、階層、専門性、文書主義の原則を指摘しました。官僚制の素晴らしさと共に、その先の未来像として人間の隷従、自由の抑圧などを予見しました。
官僚制において「一定の命令に対し服従するチャンス」=「支配」がどう確保されるんだろう、という考察から支配三類型は生まれました。
A が合法、B が伝統、C がカリスマ です。
以上より、正解は 1 です。
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