公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.12解説

 問 題     

憲法第 22 条に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、ア~オの記述に掲げられた法律の規定には、現行において廃止・改正されているものも含まれている。

ア. 憲法第 22 条の保障する居住・移転の自由は、自己の住所又は居所を自由に決定し移動することを内容とするものであり、旅行のような人間の移動の自由は含まれないため、旅行の自由は、国の内外を問わず、同条によってではなく、一般的な自由又は幸福追求権の一部として憲法第13条により保障される。

イ. 憲法第 22 条第1項は日本国内における居住・移転の自由を保障するにとどまり、外国人に入国の自由は保障されないが、同条第2項にいう外国移住の自由はその権利の性質上外国人に限って保障しないという理由はなく、出国の自由は外国人にも保障される。

ウ. 職業の許可制は、職業選択の自由そのものに制約を課すもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定するためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置ではなく、社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては目的を十分に達成することができないと認められることを要する。

エ. 法律に別段の定めがある場合を除き、司法書士及び公共嘱託登記司法書士協会以外の者が、他人の嘱託を受けて、登記に関する手続について代理する業務及び登記申請書類を作成する業務を行うことを禁止し、これに違反した者を処罰する司法書士法の規定は、登記制度が国民の権利義務等社会生活上の利益に重大な影響を及ぼすものであることなどに鑑みたものであり、公共の福祉に合致した合理的な規制を定めたものであって、憲法第 22 条第1項に違反しない。

オ. 薬局及び医薬品の一般販売業(以下「薬局等」という。)の開設に適正配置を要求する薬事法の規定は、不良医薬品の供給による国民の保健に対する危険を完全に防止するためには、薬局等の乱設による過当競争が生じるのを防ぎ、小企業の多い薬局等の経営の保護を図ることが必要であることなどに鑑みたものであり、公共の福祉に合致した合理的な規制を定めたものであって、憲法第 22 条第1項に違反しない。

1. アウ
2. アオ
3. イウ
4. イエ
5. エオ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア ですが
憲法 22 条 1 項により、国内旅行の自由も含まれるといえます。また、国外についても、第 2 項で移住が認められるのであれば、一時的外国旅行の自由も含まれると考えられます。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。

記述 ウ ですが
職業選択の自由に対する制限で、積極目的なので、西陣絹ネクタイ事件の判例に基づいて考えます。判例によれば、明確性の基準が用いられます。「より緩やかな制限・・・によっては目的を・・・達成できない」ことが要されるのは、厳格な審査基準における LRA の基準です。従って記述 ウ は誤りと考えられます。 

記述 エ は妥当です。
薬事法判決が引用された判決に関する記述と考えられます。

記述 オ ですが
薬事法違憲訴訟によれば、適正配置規制は違憲です。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

ア は条文から考えて、わざわざ旅行はだめってのはおかしいと考えて、 3 ~ 5 → 先に オ「薬事法判決」は数少ない違憲判決なんで☓ → 3 or 4 だから イ は確実 → ウ は「西陣絹ネクタイ事件」で確実に ☓ としたい問題です。

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