問 題
各国の憲法に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 米国において合衆国憲法が採択されたのは18世紀後半である。この憲法は、独立宣言に示された人民主権、各州に広範な自治権を認めながら連邦政府の権力を強化する連邦主義、立法・行政・司法の三権分立を特色としている。
- 英国では、従来、歴史的に形成された法律、判例、慣習法(コモン・ロー)が憲法としての役割を果たし、これらの改正は一般法と同様の手続により行われる軟性憲法であったが、欧州連合(EU)の発足に当たり、同国においても新たに「英国憲法」という一つの成文憲法典が制定された。
- ドイツでは、その前身であるプロイセンにおいて19世紀半ばにプロイセン憲法が制定された。この憲法は、国民主権や男女平等の普通選挙制度などに関する規定が置かれ、また世界で初めて社会権が規定された民主的な憲法であることが特徴である。
- フランスにおいて1950年代に成立した第五共和制憲法と呼ばれる憲法は、1789年のフランス人権宣言及び判例法から成るもので、成文憲法ではないと解されている。違憲立法の審査は、世界で初めて判例により確立したものであるが、我が国と同様、通常の裁判所において行われる。
- 中国では、中華人民共和国憲法の規定により、行政権、立法権、司法権はそれぞれ国務院、全国人民代表大会、人民法院に属するとされている。また、中国共産党は、国家の諸機関の指導を受けて活動を行うこととされている。
正解 (1)
解 説
選択肢 1 は、妥当な記述です。
選択肢 2 ですが、英国の憲法の特徴は「成文憲法」が現時点で存在しないという点です。
選択肢 3 ですが、ドイツのプロイセン憲法は、大日本帝国における憲法の手本です。国王を頂点とするシステムであり、国民主権ではないという点が特徴です。従って「普通選挙制度」、「民主的」といった記述が明らかに誤りと判断できるのではないでしょうか。
選択肢 4 ですが、フランスの憲法は成文憲法です。
選択肢 5 ですが、中国共産党は憲法により「人民を指導する」と定められ、中国を統治する唯一の政党です。「諸機関の指導を受けて活動を行う」わけではありません。
以上より、正解は 1 です。
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