問 題
我が国の思想家に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 福沢諭吉は「東洋のルソー」と呼ばれ、自由民権運動の理論的指導者として活躍した。また、米国から帰国した森有礼の発議で創設された明六社の一員として、文明開化を推進し、著書「民約訳解」において、民衆は「恢復(回復的民権」をめざすべきことを説いた。
- 内村鑑三は、著書武士道において、理想的な自己のあり方を追求し、どこまでも個性を尊重する「自己本位」の立場を説いた。また、自らを「永遠の不平家」と評し、日々のささいな仕事に全力で取り組む「諦念(レジグナチオン)」の境地で生きることを理想とした。
- 美濃部達吉は、天皇主権の大日本帝国憲法の下では主権在民を主張することはできないが、憲法の運用を工夫することによって民衆の意向を尊重し、デモクラシーに近づくことは可能であると考えた。そして、「民本主義」を主張し、「風土」など多数の著書を残した。
- 丸山眞男は、一般の庶民(常民)の生活茜風習、受け継がれてきた民間の伝承の調査茜研究を通して、日本の伝統文化を明らかにしようとした。日本の民俗学の創始者とも言われ、「菊と刀」など多数の著書を残した。
- 西田幾多郎は、著書「善の研究」において、独立した自己(主観)が自己の外にある対象(客観)を認識するといった、主観と客観との対立を前提とした西洋近代のものの見方を批判した。そして、哲学の出発点を、主観と客観とに分かれる前の「純粋経験」に求めた。
正解 (5)
解 説
選択肢 1 ですが、ルソーを我が国に紹介し「東洋のルソー」と呼ばれた人といえば、中江兆民です。福沢諭吉は「学問のすすめ」を書き、慶應義塾の創始者です。
選択肢 2 ですが、「武士道」は新渡戸稲造の著書です。内村鑑三は、キリスト教思想家「代表的日本人」を英語で書いて紹介した人です。
選択肢 3 ですが、「民本主義」は、吉野作造です。美濃部達吉は天皇機関説がキーワードです。
選択肢 4 ですが、「菊と刀」は、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトの著書です。また、日本の民俗学の創始者といえば柳田國男です。丸山眞男(まさお)は、日本の政治学者、政治思想者です。
選択肢 5 は、妥当な記述です。類題 一般職 H28no37
以上より、正解は 5 です。
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