公務員試験 H25年 国家一般職(化学) No.39解説

 問 題     

DNA の一般的な二重らせん構造に関する次の記述の下線部 ㋐, ㋑, ㋒ の正誤の組合せとして最も妥当なのはどれか。

「アデニンとチミンの塩基対と、グアニンとシトシンの塩基対で デオキシリボースのC-1′間の距離を比較すると ㋐ アデニンとチミンの塩基対の方が長い

DNA の溶液の温度を高くすると、二重らせん構造がほどけて 1 本鎖の DNA になる。この温度はDNA 中の グアニンとシトシン 塩基対の含有率が多くなるほど高くなる。また、このときの DNA 溶液の吸光度には加熱前と加熱後で図のような違いがみられるが

図中の曲線 ①, ② のうち 1 本鎖の DNA のものは 曲線① である。」

  ㋐ ㋑ ㋒

  1. 正 正 誤
  2. 正 誤 正
  3. 誤 正 正
  4. 誤 正 誤
  5. 誤 誤 誤

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

判断しやすいのは、記述 ㋑、㋒ だと思われます。

GC 塩基対は、水素結合 3 つAT 結合よりも水素結合が1つ多いという特徴があります。そのため、GC 含有率が高いと融解温度が高くなります。㋑ は正です。

DNAの二重らせんがほどけ1本鎖になると塩基対が自由になります。するとより塩基が光を吸収することができるようになります。従って、吸光度が上がるため1本鎖 DNA が ① で 正 です。㋒も正です。

以上より、正解は 3 です。
 
ちなみに、記述㋐ですが A-T 及び C-G 塩基対は「ワトソンクリック塩基対」と呼ばれます。これらの塩基対は、糖ーリン酸主鎖の「C1’ の位置を替えず」に A-T 対と C-G 対を交換したり、T-A、G-C への裏返しができます。つまり、距離は同じです。 

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