公務員試験 H25年 国家一般職(化学) No.36解説

 問 題     

α-シアノアクリル酸エステルに関する記述 ㋐, ㋑, ㋒ のうちから妥当なもののみを全て選び出しているのはどれか。なお、化学式中の R はアルキル基である。


㋐硬化剤の混合を要しない一液型の接着剤になる。
㋑カチオン重合により固化する。
㋒ポリエチレンのようなポリオレフィンと接着しにくい。

  1. ㋐, ㋑, ㋒
  2. ㋐, ㋒
  3. ㋑, ㋒

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

構造から考えて、アニオン重合で固化すると判断できます。すなわち、CN (シアノ)基が電子吸引基として、二重結合に隣接していることが、アニオンの安定性に寄与します。

メカニズムとしては、開始剤である求核剤(Nuー)による攻撃を二重結合の左側から受け、二重結合部分の電子が押し出されてアニオンができます。するとそのアニオンが次の分子の二重結合に求核的にアタックし、以下順々に結合が伸長していくと考えられます。カチオン重合ではありません。㋑ は誤りです。正解は 1 or 3 です。㋐は正しい記述です。

㋒ですが
αーシアノアクリル酸エステルは、アロンアルファなどの接着剤に用いられる成分です。ポリエチレンやポリプロピレンにはあまりつきにくい といった知識があると、㋒ は正しいと判断できます。

以上より正解は 3 です。

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