公務員試験 H25年 国家一般職(教養) No.29解説

 問 題     

我が国の財政に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.高齢化等に伴って必要となる年金茜医療等の経費の確保のため、平成 24 年度一般会計予算における社会保障関係費は全体の約 5 割を占めるに至った。内訳は、社会保険費、生活保護費、社会福祉費、保健衛生対策費、失業対策費に分類されるが、このうち生活保護費は社会保険費に次ぐ比率で社会保障関係費の約割を占めている。

2.近年、国の財政収支が不均衡な状況にあることに鑑み、特例公債法を制定し、特例公債(赤字国債)を発行することで一般会計の歳出の財源を確保している。同法は通常、予算と同時期に成立しており、東日本大震災のあった平成 23 年においても 3 月中に成立したが、平成 24 年において初めて、通常国会の会期中に成立しなかった。

3.一般会計予算における公共事業関係費については、平成 12 年度以降、景気対策などのために増加傾向にあったが、平成 21 年度から平成 23 年度まではいずれも前年度比で減少となった。平成 24 年度については、平成 23 年月の東日本大震災復興対策の事業費が全て一般会計に計上されたことなどから、前年度比で大幅な増加となった。

4.平成 24 年月に公布された改正消費税法において、地方消費税を含む消費税率については、平成 26  年月から 8 %、平成 27 年 10 月から 10 %に引き上げることとされた。また、これまで、消費税収は基礎年金、老人医療及び介護のみに充てることとされていたが、使用目的を特定しない一般財源とすることが同法に明記された。

5.平成 24 年 10 月から「地球温暖化対策のための税」が施行された。これは、全ての化石燃料の利用に対し、環境負荷 (CO2 排出量) に応じて広く公平に負担を求めるものであり、その税収を活用して、再生可能エネルギーの普及をはじめとした CO2 の排出を抑制するための諸施策を着実に実施していくこととされている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが H24 一般会計予算は約 90 兆円です。社会保障関係費は約 3 割です。また、生活保護費は、ずっと社会保障関係費の 10% 弱程度です。よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが、まぁこれはどたばたしましたよね!H23 年が
8/26 にやっと成立です。 H24 年は 11 月にやっと成立しました。「予算単年主義」など、憲法と予算の関係について、大学の憲法の授業ならまだしも、これだけ一般のニュースで解説されたことは、自身の経験としては生まれて初めてでした。

H24 年の成立遅れを受けて、複数年度にわたり、各年度の予算成立と同時に公債が発行できるようにと改正法が施行されました。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが、公共事業関係費については、2000 年代からずっと削減傾向です。「H12年度(2000年)以降・・・増加傾向」という記述は明らかに誤りです。


選択肢 4 ですが、消費税の使途は「明確化」されました。「使用目的を特定しない一般財源」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい記述です。
H30 年時点で、この制度により 3000 億円/年 ほどの財源確保につながっています(!)

以上より、正解は 5 です。


以下、選択肢 5 に関連して捕捉。
試験対策としては不要。

こういった税の環境効果の分析もなされており、その分析には経済学的手法がごりごり使われていることが、環境省の資料から読み取れます。このような規模(数千億という規模)で、ダイレクトに国・環境問題に専門的知見を活かすことができる と考えると、さらに英語での発信や国際会議での発表なども想像すると、英語力、専門的知見を磨いた上で、例えば環境省の仕事等が魅力的に感じてくるのではないでしょうか。

もちろん、入省してすぐにこういう仕事に携わることはありません。しかし、10年後、20年後を考えた時、想像を超えた規模での仕事が日常だったり、5年前に携わった仕事が、様々な人の手を経て、大きく育っていく という経験が味わえるという点で、素晴らしく魅力的ではないでしょうか。

以上、捕捉おわり。

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