公務員試験 H24年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅲ解説

 問 題     

Ⅲ 有機化学物質の発がん性物質は、細胞のがん化のメカニズムから、イニシエーターとプロモーターに大別される。イニシエーターとプロモーターについてあわせて10行程度で説明せよ。

 

 

 

 

 

 解 説     

解答例)
細胞のがん化は、イニシエーション、プロモーション、プログレッション の各段階からなる。イニシエーションとは、遺伝子変異や不可逆的変化によって周囲の細胞より増殖、生存が有利になった変異細胞の出現段階である。プロモーションとは、変異細胞の成長の促進段階である。プログレッションとは、変異細胞の急速で無秩序な増殖が見られる段階、すなわち、がん化する段階である。

イニシエーターとは、発がんのイニシエーション期に作用する物質のことである。遺伝子障害作用を有する。化学物質だけでなく、活性酸素や紫外線、放射線などもイニシエータとして知られている。

プロモーターは、がん化のプロモーション期に作用する物質のことである。プロモーター作用を持つ物質のみでは腫瘍は誘発されないが腫瘍細胞の増殖活性促進作用を有する。以上。

もう少しイニシエータ及びプロモーターの説明の字数を多くするのであれば

「イニシエータ ないしその代謝物は、DNAアレルに点突然変異による DNA アルキル化を引き起こし DNA 損傷を引き起こす。このようなイニシエータは発がん用量よりも低い用量においても DNA アルキル化を引き起こす。すなわち、閾値がない化学物質であるといえる。」、「プロモーター は、種々のシグナル伝達経路を介して遺伝子発現に影響を与える。プロモーターは、閾値がある化学物質である。」

といった内容を適宜追加してもよいと思います。

「胃がんのプロモーターとして、ピロリ菌や食塩が知られている」といったプロモーターに関する代表例を加えるのもありです。同様に、イニシエータについての代表例を加えるのもよいと思います。

問題文で、イニシエータとプロモーターの2つが並列なので、記述量はほぼ均等を目指し、バランスを整える点に留意すべきと考えられます。

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