公務員試験 H24年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅱ(2)解説

 問 題     

小核試験(in vivo)に関する、次の記述のA~Dに当てはまる語句を、語群から選び出しそれぞれの番号を記せ。

「A に被験物質を投与し、B又はC の中における小核をもった細胞の比率を測定することで被験物質の変異作用を検索する試験法である。

哺乳類のB又はC は、成熟過程で脱核によりD を細胞外に放出し無核の細胞になるが、染色体の構造異常や細胞分裂の異常によりD に取り込まれなかった小核は、細胞質中に残存することからこの小核を染色して検出する。」

<語群>①げっ歯類、②イヌ、③遺伝毒性、④皮膚、⑤筋肉、⑥骨髄細胞、⑦赤血球、⑧細胞壁、⑨主核、⑩染色体、⑪RNA、⑫DNA、 ⑬アポトーシス、⑭代謝物

 

 

 

 

 

 解 説     

小核試験は、哺乳類、主にげっ歯類に対して被験物質を投与し、骨髄中 又は 末梢血中の幼若な赤血球 における小核を有するものの比率を調べる方法です。A は げっ歯類、B、Cは骨髄細胞、赤血球 です。※ B,C は逆でもOKだと思われます。

D は細胞分裂によってできる核(娘核)に取り込まれなかったものが小核 なので語群から選ぶなら主核と思われます。

以上より
A げっ歯類 ①
B 骨髄細胞 ⑥
C 赤血球 ⑦
D 主核 ⑨ です。

参考)「主核」という言葉を用いている文章について
鳥取大学 微小核の生成と微小核形成細胞の運命
http://rbrc.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20171111144904-288E59F9DE1F4D326A20288905F5C535061B3C161BA6ECC11F4A3F278CB46092.pdf

「こちらは試験とは無関係な関連する話題」
2017 米ミシガン大学生命科学研究所の山下幸子(Yukiko Yamashita)さんによる
Sci-News – ‘Junk’ DNA Plays Crucial Role in Holding Genome Together: Study
小核 が 核と細胞骨格でつながっている など非常に興味深い細胞内小器官と言える。毒性試験には使われているけれど、案外注目されていなかった部分。それがやはりよく役割のわかっていなかったジャンク DNA 部分の決定的役割 が欠けた場合において生まれる構造 だった という話みたい。興味深い!

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