問 題
遺伝毒性試験に関する以下の問いに答えよ。
⑴ 細菌を用いる復帰突然変異試験に関する、次の記述のA~Eに当てはまる語句を語群から選び出しそれぞれの番号を記せ。
「1970年代に開発された A の変異株を用いる B 試験が最も汎用されている。B 試験では複数の変異株を組み合わせて用いるが、A の変異株はC生合成に関与する酵素Dに変異がありC を含まない培地上では生育できない。
被験物質の作用によって当該D に変異が起こるとC を合成できるようになるためC を含まない培地上でコロニーを形成できるようになり生じたコロニーのE を計測することにより被験物質の変異原性を検出する。」
<語群>①Ames(エームス) 、②UDS、 ③黄色ブドウ球菌、④サルモネラ属菌、⑤グルタミン酸、⑥フェニルアラニン、⑦ヒスチジン、⑧トリプトファン、⑨塩基、⑩遺伝子、⑪RNA、⑫数、⑬赤色の数、⑭非定形数
解 説
まず、B と語群に注目すれば、単語として入りうるのは、Ames か UDS です。そして、変異株を用いるとあるため 「Ames」 とわかります。
Ames 試験で用いるのはネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium) です。学名の方に注目すれば、A はサルモネラ属菌とわかります。
Ames 試験での使用株は、ヒスチジン生合成酵素遺伝子に変異があります。そのため培地にヒスチジンが添加されなければ増殖しません。しかし、突然変異がおきてヒスチジン生合成が可能になる(復帰突然変異)と、培地上にコロニー数が増えます。Ames 試験は、化学物質を加えた時のコロニー数変化により、化学物質の遺伝子変異の起こしやすさを評価する試験です。C がヒスチジン、D が遺伝子、E が数です。
以上より
A サルモネラ属菌 ④
B Ames ①
C ヒスチジン ⑦
D 遺伝子 ⑩
E 数 ⑫ です。
ちなみに、② の UDS とは、unscheuled DNA synthesis の略です。DNA付加体の除去修復の際の DNA 合成のことです。
UDS する細胞数を測定することで、化学物質の DNA 損傷作用を検出する という試験が UDS 試験です。より具体的には S 期以外の細胞周期における、放射標識した 3H チミジン等の取り込みを見ることで、UDS する細胞数をカウントして評価します。
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