総評
・工学の基礎は、過去問集。
数学、物理の基礎知識に不安がある場合、「米田さんの数学、物理」がおすすめ!
・物理化学は、「アトキンス 生命科学のための物理化学」を手元において、過去問で複数回見かけたキーワードについて理解を深めると効率よい。
・分析化学は、「クリスチャン分析化学Ⅰ基礎編」激しく推奨。計算問題の素晴らしい手引になる。「クリスチャン Excelで解く分析化学」は、社会に出た後必ず生きる経験につながると思うので、低学年や時間に余裕のある人におすすめ。逆に、試験を1年以内に控えた受験生等は絶対非推奨。
・有機化学は「ボルハルト(上下)」、2冊分冊をどうしても避けたい場合は「ブルース 有機化学概説」。
・無機化学、特に配位子場理論について「レイナー・キャナム」は見てほしい!
・高分子化学は「高分子化学」が手元にあると、勉強の目処をつけやすい。
・生化学は、ヴォートが最高!版は古くても大丈夫。
・化学工学は「化学工学 (役にたつ化学シリーズ)」がまとまっている。
書籍のレビュー
公務員試験 技術系〈最新〉過去問 工学に関する基礎(数学・物理)
工学の基礎(no1~no9)の過去問+解説です。地方公務員の再現問題に加え、記述問題まで、最新の過去問+解説が網羅されています。もう少し過去まで遡るためには、当時の本が必要となる点が残念・・・。
- 地方公務員の問題なども再現で網羅。すごい!
- わかりやすくコンパクトな解説
- もう少し過去まで1冊で遡れるといい
土木職公務員試験専門問題と解答 数学編・土木職公務員試験専門問題と解答 物理編
土木職と銘打っていますが、土木の工学基礎の一部分が、化学職工学の基礎として出題されており、工学の基礎全分野の参考書として非常に有益と思われます。
むっ、ベクトル内積がわかっている時って定石は・・・?単振動といえば公式あったな・・・?など、過去問集を解く際につまづいたり、理解しづらかった分野について、類題やその分野の基礎知識について確認するための参考書として最適ではないでしょうか。
学生時代に数学や物理が得意で、個人的バイブルが手元にある人には不要かと思います。
- 網羅性
- 基礎知識が充実
- すでに自分バイブル的参考書がある人には不要
アトキンス 生命科学のための物理化学
学校の指定教科書が「~~の物理化学 上下」といった本で、読んでも全くピンとこなかった学生に、全力でおすすめしたい参考書です。本当に同じ物理化学なのかというくらい読みやすいです。「生命科学のための」とわざわざついているのは、伊達じゃない。物理専攻ではない人のための配慮が隅々まで行き届いていると感じました。
内容面として、数式に関する補足が多い上に、数学的概念の要点については「数学の手法」という別枠で分けてくれている点が特徴です。このため、本文部分で数学的疑問や行間が全く読めない数式で頭を悩ますことがありません。
また、章末の重要事項チェックリストが簡潔にまとまっています。ピンポイントで知りたい概念は索引から、章単位で理解を深めたい時にはまずチェックリストで全体を把握しておくとよりスムーズに読むことができます。
形式面として多色カラー刷りで目に優しい、巻末資料が生命科学、化学的構造の観点からまとまっていて役に立つ、アミノ酸、核酸、脂質、タンパク質などの一覧があるといった特徴があります。ぜひ見てほしい一冊です。
- 学習のための構成工夫(「数学の手法」「チェックリスト」など)のおかげでわかりやすさ抜群!
- 学習における網羅性
- ハマると物理化学に勉強が偏ってしまうかもしれない
クリスチャン分析化学 I.基礎編
分析化学が、自信を持ってわかるようになる一冊です。
中和問題、沈殿滴定等の計算問題について例題の網羅性が高く、かつ、解説がとても丁寧な点が特徴です。
計算問題の解説を読んで「えっ、この いきなり出てきた 10(7.40-7.12)って何だ?」といった疑問から計算問題が嫌いになり、結果として分析化学全般に嫌な気持ちを抱いている人が、少なからずいるのではないでしょうか。クリスチャンならそんな気持ちとは無縁で学べると思います。
さらに、他の教科書等で詳しく触れられていないことが多いが、試験ではちょこちょこ目にする用語や概念(ガラス器具、pH メーターの原理、前処理、データ処理など)にも十分すぎるページが割り振られており、わかりやすい点がおすすめの特徴です。
- 計算問題の例題豊富 かつ 丁寧に解説
- マイナー用語についても、十分量の詳細記述!
- 章末問題が豊富すぎるため、ハマりすぎると他の科目をおろそかにしてしまうおそれあり
クリスチャン Excelで解く分析化学
社会に出た後を見据えた参考書として紹介します。
※Excel 必要です。
※サンプルデータなどは web からダウンロードできます。
専門的知識をコンピュータを通じて活用できなければ、現代において専門を学んだ意味は激減すると、強く感じています。また、表計算ソフトを始めとした種々のソフトウェアの使用に抵抗がない、というのがどれほどの強みになるか計り知れないと実感します。これは企業に勤める、公務員となる、日常生活をすごす、あらゆる場面においてです。
統計処理や繰返し計算といった処理を、分析化学の課題を通じて身につけるとともに、代表的表計算ソフトである Excel の扱いや関数に馴染むことができる一冊です。直接活用しなくても、企業、公務員、日常生活、あらゆる面での確かな基礎力の上積みができると思います。
あくまでも社会に出た後を見据えたものとしての紹介ですので、おすすめは学部 の低学年~余裕のある時期です。試験直前の学生や、定期試験、期末試験直前などには絶対に手を出してはいけません。
- 社会に出てから役立つ力を身につけることができる
- Excelが必要
- 余裕がないと手を出してはいけない
ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)(下)、ブルース有機化学概説
上巻が「命名法」、「速度論支配と熱力学的安定性支配の違い」、「立体化学(R,S、E,Z、ジアステレオマー、メソ体)」、「E1,E2,SN1,SN2 反応」、「アルコールの反応」、「アルカン、アルケン、アルキンの反応」などについて、まとまっています。
下巻が「ベンゼン環の化学」、「ヒュッケル則」、「o,m,p 配向性」、「カルボニル基の化学」、「その他の官能基の化学」などについてまとまっています。
教科書を読み、例題を自力で解けば、合格者平均点はまずクリアできると思われます。例題の十分な網羅性、コンパクトな各章ごと「重要な概念」まとめの存在もあり、学習のしやすさという点で一押しです。
唯一の難点が上下別冊である点です。2冊分冊をどうしても避けたい場合、使用したことがあるものとして「ブルース 有機化学概説」を推奨します。1冊でまとまっている教科書の中で、十分な内容を備えていると感じました。うちで勉強していると、ボルハルト上下が共にあるので、ついそちらを参照してしまうのですが・・・。
- 記述がわかりやすく、読み進めやすい
- 例題が豊富、解説も例題のすぐ下にあり学習しやすい
- 各章ごとにコンパクトな「重要な概念」のまとめあり
- 上下別冊。どうしてもこれを避けたいなら、ブルース 有機化学概説を推奨
レイナーキャナム 無機化学
頻出問題である配位子場理論について、この本を読むことで、初めてすっきりと自分なりの理解ができた参考書です。分厚い本で、辞典的なものですが、おすすめです!各論における、各原子に関する記述も本当に豊富で勉強になります。楽しすぎてはまらないよう、これは特に注意。無機化学は、配点そんなに高くないですからね!
- 配位子場理論がわかる!
- 豊富な記述
- 公務員試験にはオーバースペックかも
基礎高分子化学 (基本化学シリーズ)
どうしても見慣れない分子が出てきて何を勉強すればよいのかと感じてしまうのが高分子化学なのですが、コンパクトにまとまっている上、「この本に乗っている高分子を 勉強すべき上限 とすればよい」という一つの明確な基準が持てたため、非常に役立った参考書です。
- コンパクトに高分子がまとまっている
- なし
ヴォート基礎生化学
生化学の基礎は、ヴォート基礎生化学の各章末 見開き2ページ以内でまとまっている「各章のまとめ」で必要十分です!生体分子、タンパク質、生体膜、酵素、代謝、遺伝子の発現と複製に関して、化学を基礎とした堅牢な基礎固めができます。
過去問演習で触れた話題について、周辺事項をまとめるという使い方がおすすめです。疑問点について、詳細に理解を深めることができると思います。章末問題の解答は web 上で公開されており、問題演習も無駄に悩む必要なし。
※ヴォートについては、版が最新でなくても十分役に立ちます。個人的感想としては、学生時代に購入させられた第2版で十分な内容なので、生物系専門でないのであれば、非常に安価になるため第4版や第3版の購入を検討することを強くおすすめします。
- 各章のまとめが最高!
- 本文の記述が面白くてわかりやすい
- 演習問題が少しだけ取ってつけたような問題目立つ気がする…。問題演習は公務員試験の過去問の方がベター。読んでしっかりポイントを覚えれば十分な印象
化学工学 (役にたつ化学シリーズ)
国家公務員 化学 no41~44 対策として、各項目について十分な内容が記載されている上に、例題+解答が非常に勉強になります。物質収支式に関する計算の導出なども略されておらず、勉強にかかる時間を大きく削減してくれる一冊になると思います。
- 例題+解答が非常に勉強になる
- 物質収支式に関する計算の導出など、解答が丁寧
- なし