国家専門職試験は、特定の行政分野の業務に従事する職員の採用試験です。
試験の種類は「大卒程度試験」と「高卒程度試験」に分かれます。国家一般職試験同様、あくまでも試験問題の程度であり、年齢制限等をクリアすれば、例えば中卒者などでも受験できる点は注意が必要です。
国家専門職試験(大卒程度)は、具体的には皇宮(こうぐう)護衛官、法務省専門職員、財務専門官、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、航空管制官採用試験です。各試験が相当内容が異なるため、志望する試験についてよく調べる必要があります。
それぞれの試験において特徴的な点
皇宮護衛官
皇宮護衛官については、課題論文の実践的内容が目を引きます。例えば「皇居一般参観実施に対してのテロ行為未然防止のため、重要と考える対策を複数挙げよ」といった内容です。専門的な対策が必要です。
法務省専門職員
法務省専門職員は、具体的には少年鑑別所の技官として改善指導プログラム実施などを行ったり、保護観察官として勤務したりする職員さんの総称です。そのため、心理学や教育学、福祉、社会学などに関連する問題が特徴的です。
専門マークシートでは、ポリグラフ検査に関する英文がテーマとして出題されていたりします。専門記述については、特別区及び東京都の、福祉及び心理の問題を見るとイメージがわきやすいかもしれません。
国税専門官・財務専門官
国税専門官、財務専門官については、民法・商法の重みが大きい点や、会計学の存在が際立つ特徴です。
国税専門官として勤務して、一定年度(10年で一部、23年で全部)経つと、税理士試験の免除が受けられます。財務専門官はH24年度に新設された採用試験区分です。全国の財務省、財務局、金融庁等での仕事となります。
※ 2023 (R5) 年 から
国税専門A(法文系)、国税専門B(理工・デジタル系)という区分での試験 start !
食品衛生監視員
食品衛生監視員については、微生物学、毒性学といった衛生的観点の科目が特徴的です。さらに、専門試験がマークシートと記述の混合である点も珍しいものとなっています。
また、受験以前に、食品衛生監視員とは「任用資格」すなわち「こんな人ならOKと認定するね」という資格がまずあり、その資格を有する人が採用試験を受験する というシステムになっています。
医学、歯学、薬学、獣医学、水産学、農芸化学等の課程を修めて卒業することが一番一般的なのですが、卒業大学や専門学校 及び学部、学科等によってこの任用を受けることができるかが異なります。
従って、食品衛生監視員については、自分の所属する身分がそもそも任用資格に該当するかの確認を早めにする必要があります。
労働基準監督官
労働基準監督官については、A、B区分があります。Aが法文系、Bが理工系です。どちらの区分で合格しても採用後の職務内容にはほぼ違いがないとされています。
Aでは労働法が必須問題である点が特徴的です。Bでは、工学の基礎の数学について、国家一般職技術系よりも難易度が高い問題が散見され、総合職受験者にはとてもよい勉強材料となる印象です。
航空管制官
航空管制官については、圧倒的に英語力と空間把握力が問われることが試験科目から明らかなのですが、「外国語多肢」に加え「(外国語)聞き取り・面接」があります。(英検準2級~2級レベルで十分対応できる内容です。)
さらに、独自の「適正記憶図」と呼ばれる科目があります。これは単純に面白いので一回ぐらいどこかで目を通す機会があればぜひご覧ください。