公務員試験 2021 (R3) 年 国家一般職(農学) No.1 解説

 問 題     

我が国における農業気象災害及びその技術対策に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.雪害とは、積雪による農作物の力学的、生理的な直接被害を指すが、これには農業施設の被害は含まれない。積雪下のムギ類には赤かび病が発生しやすく、抵抗性品種の育成が大きな課題である。

2.干害には、乾風による被害と土壌水分の欠乏による被害があるが、我が国では土壌水分の欠乏によるものが多い。作物により耐干性は異なり、陸稲は畑作物の中では弱い方に属する。

3.ひょう害は、農業気象災害の中でも急性的かつ広域的な災害の一つである。農作物の被害が中心であり、農業施設は強度が高いため降ひょう現象による被害は少ない。

4.凍霜害対策の一つとして、送風法がある。凍霜害発生の危険性が高い場合に、地表面に設置したファンによって、地表面付近に滞留した冷気を拡散させることで圃場内の温度むらを均一にするものである。

5.風害対策の一つとして、防風林の設置がある。影響範囲は、防風林帯の幅を基準にして風下 30 倍の距離にまで及ぶとされる。防風林の密閉度も防風効果に関係し、100 % に近いものほど効果が高くなる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
雪害から連想するものに「家屋の倒壊」があるのではないでしょうか。また「ビニールハウスが壊れる」なども浮かぶと思われます。「雪害・・・には農業施設の被害は含まれない」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。
干害についての記述です。


選択肢 3 ですが
雹は積乱雲から降る氷の塊です。雹害は「急性的かつ局所的」災害です。「広域的」ではありません。また、ビニールハウスなどの農業施設に対して、被害が少なくありません。「農業施設は強度が高いため降ひょう現象による被害は少ない」という記述は不適切です。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
送風法は「上空の暖かい空気を地表に送り込む」凍霜害対策です。「地表面付近に滞留した冷気を拡散」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
防風林による防風作用が及ぶ有効な効果範囲は、一般に防風林の風上側で樹高の約5倍程度、風下側で樹高の 20 倍程度とされています。「防風林帯の幅を基準」ではありません。また一般的に、防風効果が高いとされる密閉度は 60 % 程度とされています。「100 % に近いものほど効果が高くなる」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

コメント