公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.28 解説

 問 題     

作物の害虫に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.イチモンジセセリの幼虫をイネミズゾウムシという。幼虫はイネの葉を食害し、数枚の葉を巻いて苞を作り内部に生息する。被害が著しい場合には穂まで食害が及ぶことがある。

2.ニカメイガは年に 2 回発生する。田植直後の発生では幼虫が葉に筋状の食害痕を作る。また、幼虫が根に入り込んで食害することがあり、著しい生育不良になる。

3.ツマグロヨコバイは海外飛来昆虫であり、我が国では越冬できない。イネの葉や穂から吸汁する直接被害のほか、イネ縞葉枯病の病原ウイルスを媒介する。

4.ミナミキイロアザミウマはイネやムギ類の害虫である。成虫の体長は 1 ~ 2 cm で、東南アジアからの侵入害虫である。

5.ハスモンヨトウは野菜やダイズなどの害虫である。成虫が葉などに産卵し、孵化した若齢幼虫は集団で葉を食害する。中齢以上の幼虫では薬剤感受性が低下するので若齢期が防除適期である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
イチモンジセセリの幼虫はイネツトムシです。イネミズゾウムシではありません。イネミズゾウムシは 1970 年代、愛知で初めて確認され、現在全国で被害が出ています。幼虫によるイネの根へのダメージが大きいです。また、成虫は葉を食べます。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
第 1 文は妥当です。ニカメイガは名前の通り、1 年に「2 回」発生します。ニカメイガは幼虫がイネの茎内に侵入して食害し,葉鞘褐変や白穂を生じさせます。「葉を食害」ではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
イネ縞葉枯 (しまはがれ) 病を引き起こすウイルスを媒介するのはヒメトビウンカです。ツマグロヨコバイは、イネ萎縮ウイルスを媒介します。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
ミナミキイロアザミウマは 1970 年代後半に日本に侵入、1978 年に宮崎県で害虫化が確認された害虫です。特にウリ科やナス科の果菜類に大きな被害を与え、西日本で最重要害虫の一つとして扱われています。「イネやムギ類の害虫」ではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。
ハスモンヨトウについての記述です。


以上より、正解は 5 です。

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