公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.22 解説

 問 題     

作物の遺伝と育種に関する記述 A~D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.メンデルの法則において、 1 組の対立形質の伝達様式は他の形質によって影響を受けないことを「分離の法則」と呼ぶ。メンデルの法則は、純系選抜法を主流とする近代育種の理論的な裏付けとなった。

B.同一染色体上にある二つの遺伝子の間で組換えが起こる頻度を組換え価と呼ぶ。遺伝子を、連鎖しているグループ別に分けた遺伝子群を連鎖群と呼ぶ。また、組換え価を基に遺伝子の相対的位置関係を表したものを連鎖地図と呼ぶ。

C.細胞質遺伝は、リボソームなどの独自の遺伝物質を持つ細胞内小器官が関わる遺伝である。イネのハイブリッド品種で用いられる細胞質雄性不稔は、細胞質の不稔遺伝子が原因となって発生し、ミトコンドリアの稔性回復遺伝子によって正常に稔実する。

D.トランスポゾンは、マクリントックによってトウモロコシ種子の色の不安定性から発見された。自律性因子 Ac は転移酵素をコードしており、切断点である非自律性因子 Ds が動くには Ac が必要である。


1.A、B
2.A、D
3.B、C
4.B、D
5.C、D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
「1 組の対立形質の伝達様式は他の形質によって影響を受けないこと」は「独立の法則」です。記述 A は誤りです。


記述 B は妥当です。
組換え価、連鎖群、連鎖地図についての記述です。


記述 C ですが
細胞質遺伝とは、細胞質 (細胞核以外の部分) に存在する遺伝因子、具体的にはミトコンドリア DNA や葉緑体 DNA による遺伝です。「リボソーム」は独自の遺伝物質を持っていません。記述 C は誤りです。


記述 D は妥当です。
トランスポゾンについての記述です。


以上より、正解は 4 です。

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