問 題
果樹の結実と繁殖に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.同一品種内で受精しない自家不和合性の果樹では、他品種の花粉の受粉が結実に必要である。一方、ある特定の品種間の受粉では結実しない場合があり、このような性質を他家不和合性と呼ぶ。
2.果樹の苗木生産には種子繁殖法と栄養繁殖法があるが、多くの場合、整枝・挿し木などによる栄養繁殖法である。挿し木は、冬に行う休眠枝挿しと新梢を用いる緑枝挿しに区別される。
3.花や果実のつき方の規則性を結果習性という。ウメは混合花芽で、前年に伸びた枝に果実が直接つく。純正花芽ではその年に伸びた新梢に果実がつく。
4.一般に、果実の成熟に伴って糖と有機酸が蓄積する。また、果実の成熟に伴ってペクチンが可溶性から不溶性に変化することで果肉が軟化する。
5.子房以外の組織を含む果実を真果と呼び、子房が肥大してできた果実を偽果と呼ぶ。リンゴの食用部位は子房壁の内果皮に由来する。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
自家不和合性、他家不和合性についての記述です。他家不和合性の例はリンゴ、ウメ、ナシなどのバラ科果樹です。
選択肢 2 ですが
「整枝」は 樹形を整えることなので、栄養繁殖法ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
純正花芽は「芽から花しかあらわれない」、混合花芽は「花とともに葉と枝もあらわれる」という結果習性です。「前年に伸びた枝に果実が直接つく」のは純正花芽です。「その年に伸びた新梢に果実がつく」のは混合花芽です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
果実の成熟過程において、糖分は増加し、有機酸は減少する傾向があります。「果実の成熟に伴って・・・有機酸が蓄積する」という記述は不適切です。
また、未熟な果実には主に不溶性のプロトペクチンが多く含まれています。成熟とともに酵素によって水溶性のペクチンへと変化します。「果実の成熟に伴ってペクチンが可溶性から不溶性に変化する」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
真果と偽果が逆です。また、リンゴの食用部位は花托と呼ばれる花の土台部分に由来します。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。

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