公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.17 解説

 問 題     

施設園芸における野菜の栽培に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.イチゴの促成栽培ではシェードによる短日処理により、休眠に入らないようにして栽培する。7 月から10 月までの端境期には、長日条件でも花芽分化する一季成り品種を利用して収穫することができる。

2.大型施設を利用したトマトの抑制栽培では7 月から9 月に播種し、翌年の初夏まで収穫を続ける。収穫期間を延長することで、年間に10 a 当たり1 トン程度の高収量が期待できる。

3.キュウリの促成栽培では冬の寒い時期を経過するので、加温が必要である。一方、半促成栽培は促成栽培よりも播種と定植を遅い時期に行うことから無加温で栽培することが可能である。

4.施設内の湿度は飽差で表すことができる。飽差が小さくなり乾燥すると、水分蒸散を防ぐために葉は気孔を閉じ、光合成が抑制される。一方、過湿状態ではうどんこ病が発生しやすくなる。

5.施設内の冷房のために、水を気化させて冷却する循環扇がある。夏にヒートポンプを冷房として使用する際には、夜間よりも昼間の施設内の冷却に利用されている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
イチゴの促成栽培ではシェードによる短日処理により、花芽分化を促進させます。「休眠に入らないようにして栽培」ではないと考えられます。

また、一季なりイチゴは「年に 1 度、春に花を咲かせ実を付けるイチゴ」です。7 ~ 10 月の端境期に収穫できるイチゴは、1 年を通して複数回収穫できる「四季なりイチゴ」が妥当です。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
トマトの単位面積当たりの年間収量は、平均で 10 a 当たり10 〜15トン程度です。「10 a 当たり 1 トン程度の高収量」ではありません。選択肢 2 は誤りです。ちなみに、1a が 10 m × 10m です。学校の教室 1 個分ぐらいの広さと考えるとよいです。


選択肢 3 は妥当です。
キュウリの促成栽培、半促成栽培についての記述です。


選択肢 4 ですが
飽差は、ある気温での飽和水蒸気圧と実際の水蒸気圧の差です。飽差が小さい → 潤っている、湿度は高い | 飽差が大きい → 乾燥している、湿度低い です。「飽差が小さくなり乾燥」ではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
水を気化させて冷却するのは「気化熱冷却」です。循環扇は空気を循環させるための換気扇です。「水を気化させて冷却する循環扇」は不適切な記述です。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

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