公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.15 解説

 問 題     

我が国の野菜の特徴と栽培に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ナスの正常な花は、雄ずいよりも雌ずいが長い長花柱花である。ナスのハウス促成栽培では、夏から晩秋までに播種し、冬は暖房して、 6 月頃まで収穫を続ける。

2.キュウリは、夜間の温度が高いときの方が雌花になりやすい。主に黒いぼ種が、露地だけでなくハウスでも栽培されることで、周年栽培されている。

3.ピーマンは、高温を好み、 7 万ルクス程度の強い光を必要とする。また、根は広く、深く分布するため、乾燥によく耐える。

4.ダイコンは、緑植物春化型であり、一般に 12 ℃ 以下の低温が続くと花芽分化する。根部の肥大には 25 ℃ 前後の温暖な気候が適する。

5.サトイモは、多年生の根菜であり、イモは不定根から分化した塊根である。栽培には低温・湿潤な環境が適しており、土壌適応性が広く、水田転換畑でも導入できる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
ナスについての記述です。


選択肢 2 ですが
キュウリは 夜の「低温」で雌花が多くなることが知られています。「夜間の温度が高いときの方が雌花になりやすい」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
ピーマンは根が浅く、比較的乾燥に弱いです。「根は広く、深く分布・・・、乾燥によく耐える」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

ちなみに 最低 4000 ルクス程度の光で育ちます。ルクスのイメージとしては「街頭がポツポツある夜の道路が大体 1~3 ルクスぐらい、学校の教室が 300 ルクスぐらい、スタジアムで 3000 ルクスぐらい、晴れて雲 1 つない晴天が 100000 ルクス」ぐらいです。


選択肢 4 ですが
ダイコンは種子春化型です。種子が発芽した直後から低温に感応するタイプです。「緑植物春化型」ではありません。緑植物春化型は、一定の大きさまで生育した植物が低温にさらされることで花芽を形成するタイプです。キャベツやタマネギなどが代表例です。

また、ダイコンといえば北海道が思い浮かぶのではないでしょうか。ダイコンは冷涼な気候を好みます。「根部の肥大には 25 ℃ 前後の温暖な気候が適する」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
サトイモのイモは地中で肥大した「茎」です。根ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

コメント