問 題
水稲の直播栽培に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.土中に播種した種籾の芽が地表に出現することを発芽と呼ぶ。水稲の種籾は酸素があると発芽しないため、播種後は直ちに湛水する必要がある。湛水状態では、まず鞘葉だけが伸びる。
2.水稲の直播栽培は、現在全国で 3 万ha を超えており、全水稲作付面積の約 2 % を占める。1980 年代前半には乾田直播栽培が中心であったが、現在は湛水直播栽培の方が多い。
3.直播栽培では、通常の移植栽培と比べて育苗と移植作業を省略できるため、労働時間を約5 割削減できる。また、収穫期が 1 ~ 2 週間程度早まることから、収穫期の作業ピークを分散できる。
4.乾田直播では、畑状態の圃場に播種する。雑草の発生が少なく、除草剤による雑草防除を省略できる。不耕起 V 溝直播では播種後に鎮圧作業が必要である。
5.湛水土中直播では、代かきをした水田に 0.5 ~ 2 cm の深さで播種する。根の支持力が不足して発生する挫折型倒伏の防止に効果がある。土中での発芽を促進する酸化鉄資材を被覆することが多い。
解 説
直播栽培 (ちょくはんさいばい) は、水稲栽培において育苗や田植えを省略し、田んぼに直接種籾を播種する栽培方法です。
選択肢 1 ですが
たねもみが発芽するためには「水分、温度、酸素」が必要です。「酸素があると発芽しない」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
直播栽培の作付面積比率に関する記述です。
選択肢 3 ですが
「労働時間を約 5 割削減」は少し多すぎると判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。
直播栽培は移植栽培と比べて約 25 % 労働時間削減、生産コストも約 10 % の低減効果が見込まれます。ただし、収量の不安定さなどの課題も指摘されています。
選択肢 4 ですが
乾田と水田を比べると、水田の方が水を貼ることにより雑草発生を抑制できます。「乾田直播では、・・・雑草の発生が少なく」という記述は不適切です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
水稲の倒伏はなびき型倒伏、挫折型倒伏、転び型倒伏の3つに大別されます。直播栽培で特に問題になる倒伏は、根の支持力不足で発生する「転び型倒伏」です。土中直播は、転び型倒伏を軽減する播種方式として開発されました。稈 の節間が折れる「挫折型倒伏」の防止ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。

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