公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.3 解説

 問 題     

我が国のコムギの栽培管理に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.圃場内の雑草や、前作物の根、茎葉を埋め込む場合は、まずロータリ耕を行い、次いでプラウで砕土を行う。また、窒素は全量を基肥とするが、リン酸とカリは基肥と追肥に分けて施す。

2.種子消毒のうち温湯浸法は、種子の内部に病原菌が侵入している縞萎縮病の予防に効果がある。温湯浸法と薬剤消毒は併用しないようにする。

3.点播は最も広く行われる播種法であり、施肥、播種、覆土、鎮圧などの工程が一度に行われる。種子と肥料を散布した後にロータリなどで土と混ぜる全面全層播きでは、播種量を少なめにする。

4.麦踏みは、発芽直後で土壌が乾いているときに数回行う。霜柱による根の浮き上がり防止、分げつの増加、稈の伸長促進などの効果がある。

5.コンバイン収穫は、粒水分が約 30 % 以下になってから行う。穂発芽の発生を避けるため、なるべく雨にあわないうちに収穫する。収穫後の乾燥は、水分が 12.5 % 以下になるまで行う。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ロータリー耕は、ロータリー (回転する刃) を使って土を耕す作業のことです。具体的には「耕起・砕土・整地を同時に行う作業」です。プラウ耕はプラウ (鋤) を用いて土を天地返しし、土壌を耕す作業のことです。ロータリ耕よりも深く耕す作業です。順番は「先にプラウ → 後でロータリ」となります。「まずロータリ耕を行い、次いでプラウで砕土」ではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
種子消毒において、温湯浸法と薬剤消毒は一般的に併用されます。「温湯浸法と薬剤消毒は併用しないようにする」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
点播 (てんぱ) とは、種子を一定間隔おいて、一粒または数粒ずつまく方法です。点播であれば「施肥、播種、覆土、鎮圧などの工程が一度に行われる」というわけではありません。

また、全面全層撒きと対比されるのがドリル撒きです。ドリル撒きは一定の間隔で筋状に種を播く方法です。全面全層撒きは、ドリル播きよりも播種の深度にムラが出て出芽・生育率が劣るなどの理由から、やや多めの播種量を見込みます。「播種量を少なめにする」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
麦踏みは「葉が 3,4 枚出た頃」を目安に行われます。「発芽直後」は少し早すぎると思われます。麦踏みの目的は、霜柱による根の浮き上がり防止、分げつの増加、稈の伸長「抑制」及び、稈を「太くする」ことです。稈の伸長「促進」ではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。
コムギのコンバイン収穫についての記述です。


以上より、正解は 5 です。

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