問 題
作物の特徴に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお、生産量は FAOSTAT2017 による。
1.イネは、世界で約 4 億 7 千万トン (籾換算) 生産されている。イネは、学名が Oryza sativa であり、長日植物である。根には空気を送るクランツ構造があるため、湛水条件で栽培できる。
2.コムギは、世界で約 7 億 7 千万トン生産されている。そのほとんどを占めるパンコムギは学名が Triticum aestivum であり、カナダでは春播き栽培が、我が国や米国では秋播き栽培が主流である。
3.ダイズは、世界で約 3 億 5 千万トン生産されている。ダイズは、学名が Pisum sativum であり、花芽分化してからも茎の節が増える匍ほ匐ふく性の品種と、花芽分化すると茎頂で節の増加が止まる立性の品種がある。
4.砂糖の原料として栽培される主な作物は、一年生草本のサトウキビと二年生草本のテンサイである。どちらも世界的には直播栽培が主流であるが、我が国ではテンサイの移植栽培も行われている。
5.ソルガムは、世界で約 10 億トン生産されている。トウモロコシに次ぐ生産量世界第 2 位の穀類であり、高温及び干ばつに弱い。我が国では輸入した子実が飼料として利用されている。
解 説
選択肢 1 ですが
イネは 「短日植物」です。「日長が短くなっていく秋」に花が咲き穂が実ることから推測できるのではないでしょうか。「長日」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
ちなみにクランツ構造は、サトウキビやトウモロコシなどの C4 植物に特徴的な葉の構造です。イネにはありません。また、根の構造でもありません。
選択肢 2 は妥当です。
コムギについての記述です。
選択肢 3 ですが
Pisum sativum はエンドウの学名です。ダイズの学名は、Glycine max です。アミノ酸の Glycine とは無関係で、ギリシャ語の「glukus:甘い」から来ているようです。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
サトウキビは多年生草本です。一年生草本ではありません。選択肢 4 は誤りです。
ちなみに、テンサイは二年生草本です。世界的に直播栽培が主流ということはないと思われます。我が国におけるテンサイは移植栽培が多数派ですが、省力化優先の流れから直播栽培が増加しています。
選択肢 5 ですが
ソルガムはイネ科の穀物で、日本では「モロコシ」などの名で呼ばれます。熱帯、亜熱帯の作物で乾燥に強く、イネやコムギなどが育たない地域でも成長します。「高温及び干ばつに弱い」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。
また、コムギの世界における生産量が年間 10 億トンもいかないことから考えれば、「ソルガムは、世界で約 10 億トン生産」は多すぎると判断できると思われます。
以上より、正解は 2 です。

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