公務員試験 2019 (R1) 年 国家一般職 (農学) No.23 解説

 問 題     

イネの品種育成に関する記述 A ~ D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.いもち病の圃場抵抗性は、菌のレースが変異することにより崩壊することがある。このため、異なるレースに抵抗性を持つ遺伝子座を 1 品種に複数集積したマルチラインが実用化されている。

B.ウルチ米のアミロース含有率は、登熟期の低温で高くなる傾向がある。登熟期の気温が低い北海道では、炊飯米の粘りを強くして食味を向上させるために低アミロース米品種の育種が行われた。

C.ガンマ線照射では、どの形質にもほぼ同じ確率で変異を誘発できる。我が国の水稲品種「レイメイ」や国際イネ研究所で育成された「IR8」はこの方法で短稈化に成功した例である。

D.草丈や収量などの形質では、一般に、関与する遺伝子は複数ある。関与している遺伝子の染色体上の位置や寄与率を、DNA マーカーと連鎖地図を用いて推定する方法を QTL 解析という。


1.A、B
2.A、C
3.B、C
4.B、D
5.C、D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
遺伝子型の異なる品種または系統を多数混合して 1 つの品種としたものを混成品種といいます。マルチラインは、一般形質が同じで真性抵抗性遺伝子だけが異なる同質遺伝子系統を幾つか組み合わせ、抵抗性に多様性を持たせたものです。混成品種の一例です。

「異なるレースに抵抗性を持つ遺伝子座を 1 品種に複数集積した」ものは「抵抗性品種」と考えられます。記述 A は誤りです。


記述 B は妥当です。
ウルチ米に関する記述です。


記述 C ですが
ガンマ線照射による変異誘発は形質によって確率が異なると考えられます。また「レイメイ」はガンマ線照射による育成例ですが、IR8 はガンマ線照射ではありません。植物病理学者が 1 万ものイネの品種から種子を選抜し、丈の低い台湾産の品種と丈の高いインドネシア産の品種を掛け合わせ、8 番目の交配で出来たコメです。記述 C は誤りです。


記述 D は妥当です。
QTL 解析についての記述です。


以上より、正解は 4 です。

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