公務員試験 2019 (R1) 年 国家一般職 (農学) No.1 解説

 問 題     

水稲の冷害に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.障害型冷害は、登熟期間後半に冷温に遭遇することによって著しい登熟不良が発生し、屑米が多発して減収する被害を指す。

2.遅延型冷害は、育苗期間の冷温により発生する。本田への移植が遅れることにより、栄養成長期間が短くなり、不稔を主原因として減収を招く。

3.混合型冷害は、冷温や日照不足などによる生育遅延に加えて、冷温条件で発生する病害によって減収する被害を指す。冷温条件で発生する主な病害としていもち病や紋枯病などがある。

4.冷害の対策として温水池や温水路の造成がある。また、深水灌漑により幼穂を冷温から保護することで、冷害回避の効果が期待できる。

5.冷害の対策として耐寒性品種の育成がある。冷害に強い品種の検定と選抜の際には冷風を処理する方法が主流である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

冷害は、田植えから幼穂形成期までの間に冷温に遭遇することで出穂期が著しく遅延する「遅延型冷害」と、穂ばらみ期から開花受精期にかけて低温期にかかり、受粉・受精が妨げられ登熟不良となる「障害型冷害」に大別されます。また、遅延型と障害型が併発するのが「混合型」です。


選択肢 1 ですが
冷温に遭遇するのが「登熟期間後半」というのは遅すぎます。また屑米は「受粉・受精はしたが、登熟期における不良」の結果発生します。屑米が多発するのは遅延型冷害が妥当です。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
遅延型冷害は「育苗期間」ではなく「田植えから幼穂形成期までの間の冷温」により発生です。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
混合型冷害は「遅延型冷害と障害型冷害の併発」です。「病害によって減収する被害」ではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。
冷害対策についての記述です。


選択肢 5 ですが
水を深く (20 ~ 25 cm) はった田んぼに「冷たい水 (約 19 ℃)」 を流しつづける「恒温深水法(こうおんふかみずほう)」がよく用いられる方法です。冷たい「風」での処理ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

コメント