公務員試験 H30年 国家一般職(農学) No.34 解説

 問 題     

植物の環境応答に関する記述 A ~ D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.水不足になると、植物は蒸散を防ぐために気孔を開き、葉面積を拡大し、土壌表面近くへの根の伸長などが生じる。

B.低温に耐性を有する植物の膜脂質は、低温感受性の植物の膜脂質に比べ、一般に、不飽和脂肪酸の割合が高く、低温下でも膜の流動性が維持される。

C.植物の一次代謝物質の一種であるファイトアレキシンは、表皮細胞に蓄積し、主として紫外線を吸収することで植物細胞を守っているとされる。

D.重金属耐性植物は、重金属に結合するフィトケラチンと呼ばれる物質を合成するなどして、細胞内で重金属を無毒化し、液胞などに蓄える能力を持っている。

1.A、B
2.A、D
3.B、C
4.B、D
5.C、D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
植物の気孔とは、葉や茎などの表皮にある小さな穴です。水不足になると、植物は水分が失われる蒸散を防ぐために気孔を「閉じ」ます。また、葉を丸めるなどして面積を「小さく」し、水を求めて「地中深く」へと根を伸長させます。記述 A は誤りです。


記述 B は妥当です。
低温に耐性を有する植物の膜脂質についての記述です。


記述 C ですが
ファイトアレキシンは、植物が病原菌や害虫などの攻撃を受けたときに生合成する、抗菌性物質の総称です。攻撃を受けていない健全な植物には含まれません。また、ファイトアレキシンは病原菌の細胞壁を破壊したり、成長を阻害することで、植物を病気から守ります。「表皮細胞に蓄積し、主として紫外線を吸収することで植物細胞を守っている」わけではありません。記述 C は誤りです。


記述 D は妥当です。
重金属耐性植物についての記述です。


以上より、正解は 4 です。

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