問 題
果樹の栽培管理に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.リンゴの果皮や果肉部に斑点状の壊死組織が発生する生理障害は、ビターピットやみつ症として知られており、マグネシウム不足に起因している。このため、窒素やカリを多施用し、マグネシウムの葉面散布を行う。
2.花ぶるいは、ブドウの春の萌芽期の生育障害の総称であり、枝の炭水化物含量の不足等に起因して生じる。対策として、新梢の成長を抑制するために強剪定を行い、萌芽期には窒素を多施用する。
3.ニホンナシでは、成熟期に樹上で果肉が水浸状となる水腐れが生じることがある。マンガン過剰で生じやすいため、マンガンが溶出しやすい酸性土壌では土壌改良を行う必要がある。
4.モモでは、硬核期に内果皮が裂ける核割れが生じることがある。これは、核と果肉の成長不均衡に起因するとされ、対策として、樹勢の適正化、硬核期直前の強摘果の回避、土壌水分の急激な変動の回避などが挙げられる。
5.ウンシュウミカンでは、果梗部や果頂部に亀裂が生じて果実がしおれる浮き皮が生じることがある。過熟や果実の凍結が原因とされ、対策として、適期の収穫と凍結防止が挙げられる。
解 説
選択肢 1 ですが
ビターピットは、カルシウム不足が原因で果実の表面に小さな斑点 (コルク状) ができるものです。マグネシウム不足ではありません。また、みつ症は「果肉の一部が水浸状になり、柔らかくなる現象」です。斑点状ですが「壊死組織が発生」しているわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
「花ぶるい」は、ブドウの花が多数咲いても、着果が極めて少ない現象です。「開花・結実期」の生育障害です。「萌芽期」ではありません。
また、花ぶるいは「栄養バランスが悪い、開花期の気象条件」など、様々な原因により生じ、防止策としては「花穂の切り込みやホウ素散布」などがあります。強剪定や窒素多施用ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ナシの果肉が水浸状となるのは「みつ症」です。水腐れではありません。また、マンガン過剰では一般的に葉に異常が生じます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
モモ の核割れについての記述です。
選択肢 5 ですが
ウンシュウミカンの浮き皮とは、著しく果皮と果肉が分離し、実がブカブカになる現象です。着色する 11 月頃に高温・多湿が続くと発生します。水分管理や炭酸カルシウム散布などが防止対策です。「果実がしおれる」わけではなく、「果実の凍結が原因」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。

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