公務員試験 2019年 国家一般職(土木) No.14解説

 問 題     

水素原子のエネルギー準位に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「水素原子における定常状態の電子のエネルギー準位は

で与えられる。ここで、n は量子数 (n= 1、2、3、…) である。

水素原子中の電子が高いエネルギー準位 En から低いエネルギー準位 En’ (n > n’) に遷移するとき、一つの光子を ㋐ する。この光子の波長を λ とし、プランク定数を h、真空中の光速を c とすると、λ = ㋑ と表せる。

この関係を用いると、水素原子中の電子が第三励起状態 (n= 4) から基底状態に遷移するときに ㋐ される光子の波長はおよそ ㋒ であることが分かる。ただし、h = 6.6 × 10-34 J・s、c = 3.0 × 108 m/s とする。」

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

【プランク定数関連の基礎知識】
プランク定数は、約 6.6 × 10-34 のことです。光子の持つ、とびとびの(量子的)エネルギーの値を定義づける比例定数のことです。「すごく小さい、量子とかの話で出てくる数!」ぐらいの理解で OK です。

プランク定数が与えられて、かつ、問題の題材が光子とくれば「E = hν」(アインシュタインの関係式) を思い出します。ν は振動数です。また、波の基本式 v = fλ の光速バージョンを考えれば「光速 c = 振動数 × λ」 です。


㋐ ですが
高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に遷移する時は、光子を「放出」します。具体例は蛍光があげられます。電子が何かエネルギーを得て高いエネルギー準位になった後に、基底状態に戻っていく際に蛍光を放出します。正解は 3 ~ 5 です。


㋑ ですが
λ = … となっているので、まずは c = νλ より λ = c/ν…(1) を考えます。選択肢を見ると h が含まれるため、E = hνより 1/ν = h/E を (1) に代入します。すると λ = ch/E です。En → En’ への遷移を考えているため、E は「En – En’」が妥当です。

まとめると
λ = hc/(En – En’) です。正解は 4 or 5 です。


㋒ ですが
基底状態は n = 1 です。

E4 – E1
= (-2.2 × 10-18/16) – (-2.2 × 10-18)
= -2.2 × 10-18 × (15/16) です。

hc
= (6.6 × 10-34) × 3.0 × 108 ≒ 2.0 × 10-25 です。
※ 6.6 × 3.0 ≒ 20 と近似しています。

従って
hc/(E4 – E1) は 大体 10-7 ぐらいの値です。選択肢から最も近いものを選べば 9.6 × 10-8 です。


以上より、正解は 5 です。

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