過去問 2023年 国家一般職(高卒 基礎)No.40解説

 問 題     

西洋の思想家に関する記述 A~D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


A:アダム=スミスは、自然状態は「万人の万人に対する闘争」の状態であり、人々は、このような状態を作り出した国家に対して抵抗権や革命権を持つとした。

B:カントは、「認識が対象に従う」のではなく、「対象が認識に従う」とする認識上の転換をコペルニクス的転回と呼んだ。

C:J.S.ミルは、快楽には質的な差があることを強調し、「満足した豚であるよりも不満足な人間である方がよく、満足した愚か者であるよりも不満足なソクラテスである方がよい」と述べた。

D: ヘーゲルは、生きる意味や目的が失われたニヒリズムの時代でも、自己の選択が自己のあり方を決定することを「実存は本質に先立つ」と表現した。


1.A、B
2.A、C
3.B、C
4.B、D
5.C、D

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 A ですが
国家・社会が存在しない「自然状態」「万人の万人に対する闘争」と考えたのはホッブズです。また、抵抗権や革命権はジョン・ロックが提唱したものです。アダム・スミスといえば「国富論」「見えざる手」を関連づけておきましょう。記述 A は誤りです。


記述 B は妥当です。
カントには「純粋理性批判」「コペルニクス的転回」「イギリス経験論と大陸合理論の統合」をキーワードとしておさえておきましょう。


記述 C は妥当です。
ミル質的功利主義についての記述です。精神的快楽、感覚的快楽を分けて考えて、人間の幸福により重要な要素が精神的快楽と考えました。対比されるのが、ベンサムによる量的功利主義です。


記述 D ですが
「実在は本質に先立つ」とは、人間は事物のようにあらかじめ決められた本質にしたがって存在するのではなく、自らが自らの本質をつくりだしていく存在であるという内容です。サルトルの実存主義における表現です。ヘーゲルではありません。

ヘーゲルといえば「世界史は自由の意識の進歩」です。『歴史哲学』で述べています。ヘーゲルといえば弁証法も有名です。「進歩史観」の代表的人物です。


以上より、正解は 3 です。

類題 H28 no40 近代以降の思想家
https://yaku-tik.com/koumuin/h28-kousotu-40/

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