過去問 2023年 国家一般職(高卒 基礎)No.27解説

 問 題     

 中国の明に関する記述として最も妥当なのはどれか。


1.元の末期、キリスト教徒による黄巣の乱をきっかけに各地で反乱が起こり、元の役人だった朱元璋が反乱の中で頭角をあらわし、北京で皇帝の座に就き、国号を明として中国を統一した。

2.明の永楽帝は、鄭和に命じてインド洋方面に艦隊を率いて遠征を行うなどして、各地からの朝貢を促し、明を中心とする朝貢体制の確立を目指した。

3.明は、朝貢貿易を補完する目的で、交易を求めて侵攻してくるロシア人や日本人の商人との密貿易を黙認し、やがて民間貿易が主流となった。この民間貿易を総称して北虜南倭と呼んだ。

4.明の時代には、活発化した海外貿易を通じて、日本や朝鮮から輸入した生糸や陶磁器の対価として、銀が明から大量に流出したため、貨幣経済が疲弊し、明が衰退する一因となった。

5.明の末期、重税と飢饉により各地で反乱が起こり、武装船団を率いて貿易活動をしていた鄭成功率いる反乱軍が北京を占領し、皇帝となった彼は、国号を清と改め、明は滅亡した。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
黄巣の乱は、唐の末期に塩の密売人が起こした農民反乱です。唐の滅亡の一因となりました。また記述は、元朝の末期に白蓮教徒の起こした民衆反乱を紅巾の乱といいますが、それとの混同を狙ったものと思われます。

選択肢 2 は妥当です。
明の永楽帝についての記述です。

選択肢 3 ですが
北虜南倭(ほくりょなんわ)は、明朝を苦しめた外患の総称です。「民間貿易の総称」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
明の時代は海禁朝貢貿易が特徴です。海禁とは、民間の貿易と、民間人の海外渡航を禁止する政策です。朝貢貿易は、明朝政府が管理し、利益を独占する貿易です。この頃、商取引に銀が用いられるようになり、日本から銀が盛んに輸入されます。「銀が明から大量に流出」したわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
北京を占領した反乱は李自成(りじせい)の反乱です。鄭成功(ていせいこう)は明の遺臣であり、台湾を拠点に清朝に抵抗した人物です。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

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