公務員試験 H26年 国家一般職(土木) No.14解説

 問 題     

2個の重水素原子核が互いに等しい運動エネルギーで正面衝突して

という核反応を起こした。この核反応に関する次の記述の㋐、㋑に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

ただし、重水素、He の原子核、中性子の質量は、それぞれ 3.3436×10-27kg、5.0064×10-27kg、1.6749×10-27kgとし、真空中の光速度は3.0×108m/sとする。

また、この核反応では、Heと中性子以外でエネルギーを運び去る光子などの粒子はなかったものとする。

・ この核反応で放出される核エネルギーはおよそ( ㋐ )×10-13 Jである。

・ 核反応後の He と n の運動エネルギーをそれぞれ K1、K2 とする。この衝突において運動量が保存されると仮定するとK1:Kはおよそ1:( ㋑ )である。

  • ㋐  ㋑
  1. 2.7  1
  2. 2.7  2
  3. 2.7  3
  4. 5.3  2
  5. 5.3  3

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

E=mc2 を知っている前提です。

式の左辺における質量は重水素が2つなので、3.3436×10-27kg × 2 です。

式の右辺における質量はヘリウム1つと中性子1つなので、5.0064×10-27kg + 1.6749×10-27kgです。

係数部分を計算してみると6.6872 と、6.6813 です。わずかに減少しており、その差は0.0059 = 5.9 × 10-3とわかります。

E = mc2 により

E = (5.9 × 10-3)×(3.0×108)2
≒5.3 × 1013 です。

よって正解は 4 or 5 です。

核反応の模式図を書くと下図のようになります。

衝突は、同じ重水素が互いに等しい運動エネルギーだったということなので、衝突における速度も同じだったとわかります。

すると、衝突前において運動量は同じ大きさで逆向きなので、足せば0です。

衝突後において、Heの速度を ーv、中性子の速度を V とおきます。大雑把な比がわかればよいのでHeの質量を5、中性子の質量を 1.67 とした上で、比で考えて 「3」:「1」とおきます。

運動量は3 ×(ーv)+1 × V と表すことができます。衝突の前後で運動量が保存されたのだから、0=3×(ーv)+1×V です。

従って、3v=V です。よって、v = 1/3 V と表すことができます。

He の運動エネルギーは

1/2 × 3 × (1/3V)2
= 1 / 6 V2 です。

中性子の運動エネルギーは

1/2 × 1 × V2 
= 1/2 V2 です。

1/6:1/2 = 1:3 となります。

以上より、正解は 5 です。

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