問 題
経済に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.消費者主権とは、商品を自由に選択、購入することで、消費者の嗜好に合った商品を生産させることができる権限をいう。我が国では、商品に関する情報などについて、生産者の立場に対して消費者の立場が強すぎることによる消費者問題が起こっている。
2.サプライチェーンとは、原材料調達から生産・物流・販売までの供給活動における連鎖構造のことである。東日本大震災の際には、サプライチェーンが破壊されて自動車の生産量が減少した。
3.企業の社会的責任とは、地域社会へ利益の還元を行うことであり、我が国では、地方自治体の指定する事業や、民間団体のボランティア活動への支援などが義務化されている。
4.製造業についてみると、我が国の中小企業は、かつては大企業の下請として部品の製造などを行っていたが、現在、その生産性は大企業と同等にまで向上し、生産品の出荷額が全体の8 割を超えている。
5.自由貿易協定(FTA)は、特定の国や地域間で関税を撤廃し、貿易・投資の自由化やヒトの移動の自由を促進する協定であり、経済連携協定(EPA)は、FTA に集団安全保障の役割を加えたものである。
解 説
選択肢 1 ですが
消費者主権とは、企業の生産する商品決定の基準は消費者の欲求であるという考え方です。情報化社会においては、消費者が広告等を通じて「商品を選ばされる」ことが多くなり、消費者主権は弱まるとされます。我が国においても、消費者を保護するためにクーリングオフ制度や、消費者庁が発足しました。「消費者の立場が強すぎる」という記述は不適切と考えられます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
サプライチェーンについての記述です。
選択肢 3 ですが
企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)とは、企業が社会や環境への配慮を十分に行い、行動に責任を持つといった意味です。「地域社会へ利益の還元を行うこと」ではありません。地域社会のみを対象とした、狭い内容ではないということです。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
本試験時点において、中小企業の労働生産性(従業員一人当たり付加価値額)は、大企業と比較して半分以下です。また、生産品の出荷額も全体の 約 5 割です。全体の 8 割を超えてはいません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
FTA は、関税の撤廃・削減を定める協定です。EPA は、FTA の要素を含みつつ、より広い知財保護や人的交流拡大なども含めた協定です。「自由貿易協定(FTA)は・・・ヒトの移動の自由を促進する協定」という記述は不適切と考えられます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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