公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.1解説

 問 題     

色知覚に関する記述 A~D のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

A. あらかじめ色票 (color chip) を作成し、適当な記号又は番号を付け、これを標準として色を表す方法があり、国際照明委員会が定めたCIE 表色系はその代表的な例である。一方、光源や物体からの色刺激の特性を測色学的な手続に基づいて表す方法もあり、その代表的な例としてマンセル表色系が挙げられる。

B. 視覚細胞のうち、主に明所視で働く錐体は、色の知覚に関連する。ただし、色覚が成立するには、原則として分光感度の異なる2種類以上の錐体を必要とする。一方、暗所視で機能する桿体は、明暗の知覚に関連する。十分に暗順応した状態では、桿体の方が錐体よりも光に対する感度が高い。

C. 明所視から暗所視に移行すると、視覚系の感度のピークは中・長波長から短波長側に変化する。この変化をゲルプシフトという。これにより、明るいところでは、黄、オレンジ系の色が明るく鮮やかに見えていたのに、薄暗くなってくるとこれらの色は黒く沈み、代わりに青系の色が鮮やかに見えるようになる、というゲルプ現象が起こる。

D. 暗室で、テクスチャーを知覚できないようにした黒にだけ強い照明を当てると、対象は白く
知覚される。しかし、このとき照明光を明らかにするようなもの (例えば白) を一緒に提示す
ると、たちまち対象は黒く知覚されるようになる。白を排除すると、対象は再び白く知覚され
る。これをクレイク・オブライエン効果という。

1. B
2. D
3. A C
4. A D
5. B C

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

A ですが
マンセル表色系と CIE 表色系が逆です。あらかじめ色表を作成して表す方法の代表例が「マンセル表色系」です。国際照明委員会が定めた CIE 表色系の説明が後半部分です。こちらに色表はありません。色の知覚に関し、心理的三属性(色相、明度、彩度)に注目するか、3 種類の錐体の受ける色刺激に注目するかによる表し方の違いです。記述 A は誤りです。

B は妥当な記述です。
錐体→色、杆体→暗所視で機能 は正確に対応させておくとよいです。

C ですが
記述は「プルキンエ現象」についてです。中・長波長側とは、具体的には赤色付近、短波長側とは、具体的には青、紫色付近です。ゲルプ現象とは、薄暗い場所で黒円盤を強く照射すると白く見えるのですが、白い紙片を置くと円盤が黒く見える現象です。「明るさ」の知覚が照明条件のみに依存しないことを示した(面白い)実験です。記述 C は誤りです。

D ですが
記述はゲルプ現象についてです。クレイク・オブライエン効果は、同じ輝度の一枚の紙でもエッジと呼ばれる『中心で急激に「暗い→明るい」と変化する細い領域』を置くと(それは見事に)左側が暗めに、右側が明るめに見えるという錯視です。 記述 D は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント