問 題
生態系に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.生態系を構成する生物は、無機物から有機物を生産する生産者と、有機物を無機物に分解する分解者の二つに分けられる。植物・菌類・細菌は生産者、植物を食べる動物は分解者である。
2.生産者が生産した有機物の総量を成長量という。また、成長量から同化量と枯死量を引いた残りを現存量という。
3.多くの植物は、大気中の窒素を直接体内に取り込み、アンモニウムイオンを合成する。合成されたアンモニウムイオンの一部は土壌中の根粒菌により窒素に変換され、大気中に放出される。
4.植物が光合成を行うことにより、光エネルギーが有機物の中に熱エネルギーとして蓄積される。熱エネルギーは最終的に化学エネルギーとなり、生態系の中を循環する。
5.人間の活動により、本来の生息場所から別の場所へ移されて定着した生物を外来生物という。我が国に生息する外来生物の例として、アライグマやウシガエルなどが挙げられる。
解 説
選択肢 1 ですが
生態系は生物と非生物的環境から構成されます。そして生物は、無機物から有機物を生産する生産者と、無機物から有機物を生産できず、食べ物から有機物を取り入れる消費者に分類されます。そして、消費者の中でも特に生物の死骸や排出物に含まれる有機物を取り入れている生物のことを分解者と呼びます。分解者の代表例が菌類や細菌類です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
生産者(植物)が光合成によって生産した有機物の総量を「総生産量」といいます。「総生産量 ー 呼吸量」が「純生産量」です。純生産量からさらに食べられる「被食量」と、枯れたりする「枯死量」を引いた量が「成長量」です。「現存量」は、もともとの自分の体に含まれる有機物の量です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
窒素(N) 循環において、大気中の窒素 (N2) がまず、根粒菌などにより、NH4+ へと変換されます。これを窒素固定と呼びます。この後 NH4+ → NO3– へと変換されるのが硝化です。硝化により生じた NO3– が生産者に取り込まれ、有機窒素化合物が合成されます。その後消費者や分解者を経て脱窒により、大気中へと戻り、N2 は循環していきます。
選択肢 4 ですが
光エネルギーが有機物の中に「化学エネルギー」として蓄積されます。有機物は呼吸により熱エネルギーとなり、生態系外へ放出されます。結果として、エネルギーは循環しません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
外来生物についての記述です。
以上より、正解は 5 です。
類題 H29 no24 生態系
https://yaku-tik.com/koumuin/h29-kousotu-24/
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