2022年 国家一般職(高卒 基礎)No.27 解説

 問 題     

東南アジアの歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.仏教は、中国から東南アジアに伝来した。ビルマ(ミャンマー)のアユタヤ朝やタイのスコータイ朝では大乗仏教が栄え、インドネシアのジャワ島では上座部仏教が栄えた。

2.16 世紀、ポルトガルとスペインが東南アジアに進出したが、アンボイナ事件によりスペインを排除したポルトガルは海上交易を独占し、「太陽の沈まぬ国」と呼ばれる繁栄を築いた。

3.19 世紀後半、米国はベトナムへの介入を深め、フランスにベトナムへの宗主権を放棄させ、米領インドシナを形成した。

4.スペインの植民地であったフィリピンでは独立運動が起こり、19 世紀末に独立を宣言した。しかし、アメリカ=スペイン戦争に勝利した米国は、フィリピンを植民地とした。

5.オランダの植民地であったカンボジアでは、プランテーション農業が盛んに行われた。20 世紀初頭には、東南アジアの大陸部全域を勢力範囲とするオランダ領東インドが成立した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
仏教は釈迦入滅後、根本分裂で「上座部(小乗)仏教:インド → スリランカ → 東南アジアへと伝搬」 と 「大乗仏教:インド → 中央アジア → チベット → 中国・朝鮮 → 日本 へと伝搬」に分かれました。タイの仏教は上座部仏教なので「タイ・・・では大乗仏教が栄え」という記述は誤りです。

選択肢 2 ですが
アンボイナ事件は、1623 年 に起こった、インドネシア モルッカ諸島における オランダとイギリス商館の紛争です。この紛争を契機として、オランダが権益を独占しました。「スペインを排除したポルトガル」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

香辛料独占のための海洋覇権を争った イギリスとオランダ の戦いが中心の 17C (やや優位と評価されるオランダの時代)→ イギリスとフランス の争いが中心へと変わっていく 18C というダイナミックな世界史の流れを垣間見れる事件といえます。


選択肢 3 ですが
19 世紀後半 ベトナムへ介入したのは「フランス」です。ユエ条約でフランスがベトナムを保護国化 → 宗主国であった清 がフランスに反発 → 清仏戦争(1884-1885)→ 天津条約により、清がベトナムの宗主権を放棄 → 1887 年 ベトナムとカンボジアを合併して、フランス領インドシナ連邦を成立 という流れになります。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
フィリピンの歴史に関する記述です。

選択肢 5 ですが
カンボジアを保護国化していたのはフランスです。「オランダの植民地であったカンボジア」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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