2022年 国家一般職(高卒 基礎)No.23 解説

 問 題     

中和反応に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.酸と塩基が反応し互いの性質を打ち消し合うことを中和といい、塩酸と水酸化ナトリウムの水溶液が完全に中和すると、水溶液中の塩素とナトリウムは、イオンとして存在しなくなる。

2.指示薬を用いることで、中和が完了したことを知ることができる。塩酸でアンモニア水を中和した場合、フェノールフタレインは黄色に、赤色リトマス紙は青色になる。

3.弱酸である酢酸の水溶液中に、電離している水素イオンは少ない。しかし、塩基を加えて中和していくと次々と電離して水素イオンを生じ、最終的には全ての酢酸の水素イオンが中和される。

4.中和で水と共に生じる物質を塩(えん)という。塩の水溶液は全て中性であり、塩の水溶液は電気を通さないが、水溶液を熱して水を蒸発させると、塩は結晶となり電気を通す性質を持つようになる。

5.濃度が未知の硫酸 10 mL を過不足なく中和するのに、濃度 1 mol/L の水酸化ナトリウム 2 mL を要した場合、この硫酸の濃度は、4 mol/L である。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
中和の説明は 妥当です。塩酸 (HCl) と 水酸化ナトリウム (NaOH) が完全に中和すると、水と NaCl ができます。水溶液中の 塩素 Cl と ナトリウム Na はくっついて NaCl になります。そして、NaCl は水中でまたイオン(電荷を帯びた原子)として、具体的には Na+、Cl として存在します。「イオンとして存在しなくなる」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
指示薬とは、中和したことをわかりやすくするために加える試薬です。中和するところで色が変わります。

代表的な指示薬である フェノールフタレインは、酸 → 塩基で 無色から赤色に変わります。塩酸を加えていくということは 塩基 → 酸なので、フェノールフタレインは 赤色 → 無色となります。黄色にはなりません。また、赤色リトマス紙は、塩基であるアンモニア水につけていると青くなります。塩酸で中和することで 青 → 赤色に変わります。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。


選択肢 4 ですが
中和で水と共に生じる物質は塩(えん)です。1文目は妥当です。

塩の水溶液は、元の酸性・塩基性の影響を受けるため、水溶液が全て中性とは限りません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
硫酸 H2SO4 には H が2つあるので、価数2です。NaOH は価数1です。酸における H の数、塩基における OH の数を価数といいます。

中和において「酸の価数 × 濃度 × 用量」「塩基の価数 × 濃度 × 用量」が成りたちます。つまり、2×?× 10 =1×1×2 ということです。?=0.1 mol/L とわかります。4 mol/L ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

コメント