公務員試験 2022年 国家一般職(土木) 記述式 回答例

 問 題     

我が国の国土の性質上、災害が起こりやすく、近年、風水害は激甚化・頻発化している。この状況を踏まえ、行政に関わる土木技術者の観点から以下の問いに答えよ。


(1) 将来、風水害による被害を更に増大させる可能性がある要因を二つ挙げ、それぞれ簡潔に説明せよ。


(2) 次の 1 ~ 4 の分野の中から一つ選び、その番号を明記した上で、風水害の激甚化・頻発化に対する課題を挙げ、簡潔に説明せよ。

1 道路
2 河川
3 港湾
4 都市計画


(3) 行政としては、(2)で挙げた課題に対する対策を、財政上の制約を踏まえて実施していくことが必要である。いま、あなたが対策を進めていく立場にあるとし、どのような対策を優先して実施すべきであるか、(1) で挙げた要因の一つを示した上であなたの考えを述べよ。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

【問題文、設問について】
(1) について
気候変動」と「高度な都市化の進展」が 多分 多くの人があげた要因か。( 気候変動は浮かびやすそう、「もう 1 つ」で困ったかも)。


(2) について
風水害なら、河川堤防 か 港湾 が書きやすいか…? 道路、河川、港湾はどれも共通課題として「インフラ老朽化」、「不十分な耐久性」をあげれば 簡潔 か。都市計画との兼ね合いは専門性が高い人向けという印象


(3) について
「財政上の制約を踏まえ」については 2020 年記述のキーワード「民間活力、新技術の開発・活用、アセットマネジメント」あたりの中から流用できるものを使うと書きやすい印象。

また、公務員試験の論文で「財政上の制約を踏まえ」ときたら定番の 1 つは「メリハリのある施策実行」なので、そちらも浮かびやすいと思われます。

もう 1 つ防災では頻出キーワードが「減災」なので、起こることを前提とした上での被害軽減のための施策という観点から連想すると、対策が浮かびやすいかもしれません。

回答例

(1)
将来、風水害による被害を更に増大させる可能性がある要因として、1:気候変動、2:都市化の進展 があげられる。

気候変動により地球温暖化が進行すると、海水温の上昇や、大気中の水蒸気量増加により風水害被害が増大する可能性がある。

また、都市化の進展に伴い道路の複雑な被覆が進行するため、地面吸水力が低下し、雨水排出が困難になり、風水害による被害増大をもたらしうる。

(2)

風水害の激甚化・頻発化に対する課題として、既存道路の老朽化、及び、不十分な耐久性があげられる。我が国の道路の多くが高度成長期時代に整備されたものであるため、老朽化が進行している。一方で、整備が進んでいない現状にある。このような状況下において、風水害が激甚化・頻発化すると、国民の生命・経済に対して、これまで以上の被害が多く発生することが懸念される。

(3)
財政上の制約を踏まえ、風水害の激甚化・頻発化への対策として、私は減災のための施策を優先して実施すべきであると考える。

具体的には、1:避難道路の整備・確保の推進、2:災害発生時における迅速な情報共有のための避難誘導システム開発 を行うべきである。

老朽化した道路の更新に伴う排水能力の向上などが望ましいが、全国の道路更新には非現実的な費用・時間・人手がかかる。そこで既存の道路を活用した避難道路の整備・確保を推進すべきであると考える。

また、災害発生時に避難道路等があっても、活用できなければ意味がない。そこで衛星からの情報や、ドローン活用による迅速な現状把握と、迅速な情報共有を可能にする情報システム開発を進めるべきであると考える。この際には、全てを内製化すると予算や規模が拡大するため、民間活力を用いた開発・活用の推進が望ましいと考える。以上。

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