問 題
イオン結合や共有結合に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.ナトリウムと塩素が反応して塩化ナトリウムとなる際、ナトリウム原子は 1 個の価電子を放出して陰イオンとなり、塩素原子は 1 個の電子を受け取って陽イオンとなる。
2.イオンから成る物質は、粒子の間にはたらくイオン結合が強く、金属同様に延性や展性を有している。また、一般に融点は 0 ℃ であるものが多く、融解しやすい。
3.融解したイオンから成る物質は、電離する電解質と電離しない非電解質の二種類に分けられる。前者にはスクロース(ショ糖)があり、後者には硫酸がある。
4.窒素は、二組の共有電子対をもち、これらの電子対による共有結合を二重結合という。アンモニアは、三組の共有電子対をもち、これらの電子対による共有結合を三重結合という。
5.塩化水素は、 1 個の水素原子と 1 個の塩素原子が共有結合してできている。塩化水素中の水素原子は、ヘリウム原子と同じ電子配置をとる。
解 説
イオン結合とは、陽イオンと陰イオンが静電気力によって結び付いた結合のことです。イオン結合によってできているイオン結晶は、一般に硬いが、外部からの力にはもろく、また、結晶状態では電気を導かないが、水溶液にすると電気を導くといった特徴を有します。代表的な化合物として 塩化ナトリウム(NaCl)があります。たくさんの Na+ と Cl– が結びついています。
選択肢 1 ですが
Na+ + Cl– → NaCl が基礎知識です。ナトリウム原子は陽イオンになります。塩素原子は陰イオンになります。できあがる NaCl (食塩)は、イオン結晶の代表例です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
イオンからなる物質とは、イオン結合で結びついている物質です。代表例は食塩です。融点とは、固体から液体になる時の温度のことであり、食塩の融点を考えると、「一般に 0 ℃」という記述に違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
硫酸は電解質です。また、スクロースは非電解質です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
窒素原子の電子数は7です。内側(K殻)に2つ電子があり、外側(L殻)に5つ電子があります。共有電子対とは、2つの原子が電子を1個ずつ出し合うことで作られる電子対のことです。この電子対による結びつきが共有結合です。窒素(N2)は、共有電子対が3つあります。三重結合を有します。二重結合ではありません。
また、アンモニア(NH3)において、窒素原子は各水素と共有結合を作ります。それぞれの結合は単結合と呼ばれます。三重結合ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
以上より、正解は 5 です。
参考 薬学基礎 化学のまとめ https://yaku-tik.com/yakugaku/category/basic/chemistry/
リンク先における「原子、分子、イオン」~「結晶構造」 まで 目を通すと、ざっと本問に関与する分野の全体像がつかめるのでおすすめです。
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