問 題
バイアス回路に関する次の記述の ㋐、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
「図の回路は ㋐ である。コレクタ電源電圧 VCC= 10 V、ベース・エミッタ間の電圧 VBE = 0.60 V、コレクタ側の抵抗の抵抗値 RC = 4.5 kΩ、ベース電流の大きさ IB= 200 μA とするためには、バイアス抵抗の抵抗値 RB を ㋑ としなければならない。」
解 説
知らないと解けないし、過去に見られないテーマです。本問を通じて「バイアス回路」についての理解を深める、という認識でよいと思われます。
【バイアス回路について】
バイアス回路は、バイアス電圧を与えるための回路です。バイアス電圧とは、トランジスタの動作最適化のため、少しだけ常に与えておく電圧です。トイレの便器を乾かさないように少量だけ常に水を流し続けているようなイメージです。
バイアス電圧を与えるためのバイアス回路は現在、大きく3つが知られています。1:シンプルだが、温度変化などの影響を受けやすい「固定バイアス回路」、2:自己フィードバックで調節するので安定性が高い「自己バイアス回路」、3:最も複雑だけど、最も安定する「電流帰還バイアス回路」 の3つです。
図の回路は「固定バイアス回路」です。㋐ は「固定バイアス回路」です。正解は 4 or 5 です。
【RB の計算】
反時計回り外側の閉回路に注目します。
キルヒホッフの電圧則より『起電力の和=電圧降下の和』です。
起電力は 10 です。電圧降下の和は 「RB における電圧降下+VBE」です。問題文より VBE = 0.60 なので、RB における電圧降下が 10 – 0.6 = 9.4 です。電圧降下 は V降下 = RI です。IB = 200 μA なので、選択肢より 47 k Ω が正解とわかります(47 × 103 × 200 × 10-6 = 9.4 です)。
以上より、正解は 5 です。
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