公務員試験 2021年 国家一般職(土木) No.30 解説

 問 題     

土の圧密現象に関する記述 ㋐ ~ ㋔ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 圧密は、透水性の低い粘性土が荷重を受け短時間で体積が減少する圧縮現象である。

㋑ 過圧密比は、圧密圧力の増加に伴い間隙比が減少する割合である。

㋒ 体積圧縮係数は、圧密圧力の増加に対する体積の減少の程度を示している。

㋓ 圧密沈下に要する時間は、一般に、粘土よりもシルトの方が長い。

㋔ 過圧密粘土でも、新たな圧密圧力によって圧密降伏応力を超えると正規圧密状態となる。


1.㋐
2.㋐、㋒
3.㋑、㋓
4.㋒、㋔
5.㋔

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

㋐ ですが
圧密とは土の自重により間隙水の排出を伴って、長時間かけて体積減少することです。「短時間で」ではありません。㋐ は誤りです。


㋑ ですが
加圧密とは、かつて大きな力を受けていて、もうこれ以上圧密がおきないような状態のことです。

過圧密比は、地盤内で現在受けている「有効土被り圧」:「圧密降伏応力」です。圧密降伏応力は、粘土が弾性的(可逆的)な挙動を示す範囲から、塑性的(非可逆的)な挙動を示す範囲に移行する境界応力です。言い換えると、初めは少しずつしか体積が小さくならないけど、ある程度からぐっと小さくなっていく、その境界が圧密降伏応力です。

従って
加圧密比は「圧密圧力の増加に伴い間隙比が減少する割合」ではありません。㋑ は誤りです。


㋒ は妥当です。
「体積圧縮係数」についての記述です。


㋓ ですが
土は大きく粒径 「75μm」 を境として「粗粒」と「細粒」に分類されます。粗粒はさらに、 に分類されます。細粒はさらに 粘土 シルト に分類されます。径の小さい方から並べると『粘土→シルト |75 μ の壁|砂→礫』です。つまり、粘土の方が粒径は小さいです。

粘土の方が間隙水の排出に時間がかかります。つまり、一般に「シルトよりも粘土の方が長い」です。


㋔ は妥当です。
満員電車で最高にぎゅうぎゅうになる → いったんある程度人が降りて少し余裕ができる → また人がどっと入ってきて (新たな圧密応力) 最高にぎゅうぎゅう (正規圧密状態) になる というイメージを持つと理解しやすいかもしれません。


以上より、正解は 4 です。

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